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【特別掲載】第85回全国高校サッカー選手権大会決勝フォト

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2006年9月29日 (金)

子供の未来

私には小学生の子供が2人いるので、最近ブームになっている中学受験のこととかもよく夫婦で話し合います。 しかし、当の2人といえば昆虫やら動物やら植物やらが大好きで、頭使うより体を動かす方が好きで、その割にちゃんとDS???っていうゲームもを楽しそうにやってます。

でもこの中学受験、考えれば考えるほど結論から遠ざかっていくような気がします。塾もそれなりに研究してますが、今の実態がわかればわかるほど頭が痛くなってきます。どこの塾がよいかではなくて、そもそもうちの子供達に中学受験の勉強させることが合っているのかどうかということです。

私自身は、小学校から帰ってきたら玄関にランドセル放り投げて、お決まりの遊び場所に一目散という感じでしたから、「中学受験」と出くわして困惑するのも当然といえば当然です。

こんな私が勉強ってした方がいいんだろうなぁってわかったのは中3です。高校受験のときですね。私は体育だけが「5」で、あとは3ばっかりで1つか2つ「4」が混じる(5段階相対評価で)感じでしたので、中3の1学期末の進路面談では行きたいと思っていた公立高校は無理(公立受験には内申書の評価がある)だから受けるなって言われました。それでも受けたいと食い下がったら、『だったら「4」をあと4つは増やせ』と言われました。

そんなら増やしてギャフンと言わせてやろうと思い、夏休みとその後の2学期はちょっとがんばってみたんです。そしたら本当に「4」が増えてしまいました。しかし、そのとき私の隣の席だった私よりはるかに勉強のできた子が私より通信簿の成績が落ちてしまいました。私は本番の試験もうまくいき(問題が超簡単だった!)その高校に入りましたが、その隣の子は「偏差値」では私の高校より下の高校に行きました。私の「4」が増えたので、誰かの「4」が減ったんでしょうが、そのあおりかもしれません。でも私の方が「偏差値」では上の学校に行きましたが、その子が私より「学力」があった事実は何も変わるわけではありません。そのときにはそうなってしまっただけの話です。案の定、私の高校での成績は最初から最後まで最下層に位置し、3年3学期の最終教員会議で卒業が決まるような人間になっていました。

ちなみに私はサッカー部だったんで当時の私立の強豪高校も受けました。でも、その学校に願書出しに行ったとき、グラウンドでサッカー部の人が練習していたんですが、それ見て愕然としました。うますぎるんです。話にならないと思いました。当時の私ははっきり言って行きたかった公立を受けられるようになった喜びより、このときのショックの方が大きかったです。高校受験は私にとってはこんなもんでしたから入った後で成績最下層になるのも当たり前ですね。

ただ振り返ってみると、節目節目(というかポイント)では、自信を持ってそれを貫くべきか、貫くために自己改革するか、勇気をもって方向を変えるべきか、といったことは自分なりに真剣に考えていたように思います。

0923

これ以上大きな能力の上積みのない私には何となくおぼろげながら人生のゴールは見えますが、小学生に人生のゴールを見ろといっても無理じゃないでしょうか。世の中も人の気持ちも変わります。でも見えないからこそ、いろんな可能性が広がっているのだとも言えます。うちの子供達にはその広がっている世界に思い切りシュートを打ってほしいです。

いかなる結果にも現実をきちんと受け入れ、新たな目標を定め、自分の意思の力で踏み出せるような人間に育てたいです。

2006年9月27日 (水)

NEXT STAGE

0924_4

球拾いの毎日だった頃のこと、グランド整備で手抜きして先輩に怒鳴られたこと、夏の合宿のこと、サッカーばかりで彼女と喧嘩したこと・・・いろいろなことが去来することでしょう。

思いっきりこれまでの部活動の思い出に浸ってください。そして浸るだけ浸ったら、次の目標に向かって力強くアクセルを踏み込んでください。

高校3年間より、これからの人生の方がはるかに長く険しいです。

まちがっても今あっちこっちにはびこっている「人の話に耳を傾けず」「自分さえよければ誰がどう感じようと関係ない」という大人にはならないでください。そして親の気持ち、目上の人の気持ち、友達の気持ちがわかる人間になってください。

高校サッカーからの引退はNEXT STAGEへの第一歩です。決してふるい落とされた敗北ではありません。

※写真は2006年9月24日(日)、早実戦のあと自軍ベンチに挨拶する都立千歳丘高校のイレブンです。

2006年9月26日 (火)

選手権都大会ベスト8出揃う

9月24日に2回戦が行なわれ、AブロックBブロックともにベスト8が出揃いました。泣いても笑ってもこの16校から2校のみが全国選手権の切符を手にします。ここまでの戦いを見るに順当とも波乱とも言えない何と表現したらいいのか適当な言葉が見つからない大会になってますね。

【Aブロック】

  • 暁星1-0國學院久我山
  • 都立福生1-0中大附属
  • 都立つばさ総合3-2(延長)学習院
  • 関東第一1-0都立三鷹
  • 国士舘0-0(PK3-1)都立駒場
  • 早稲田実業4-0都立千歳丘
  • 堀越2-1(延長)都立保谷
  • 修徳2-1創価

【Bブロック】

  • 東京朝鮮2-1都立葛飾野
  • 大東文化一1-0武蔵工大付
  • かえつ有明5-1私立武蔵
  • 東海大菅生2-0桐朋
  • 都立久留米2-0保善
  • 駒大高2-0成城
  • 実践学園3-0駿台学園
  • 帝京2-1東海大高輪台

帝京、東京朝鮮、修徳、国士舘、早実、駒大などは順当でしょうが、夏の総体東京第一代表の國學院久我山、前年度準優勝の都立三鷹そして成立学園が初戦で姿を消し、国士舘と当たってしまった都立駒場もPKで涙をのみました。

反面、こういったら叱られてしまうかもしれませんが古豪の暁星と堀越、全国選手権出場実績のある実践学園と東海大菅生、都立久留米が勝ち残り、地力がある私立校の大東文化大一と関東第一、延長逆転勝ちで勢いがある都立つばさ総合と中大附属を完封した都立福生の都立勢、そして何と言っても総体ベスト10の私立武蔵に圧勝した全員1年生のかえつ有明。

こう見ると順当に残った強力シード校に、伝統をもつ古豪、実績のある強豪、地力ある私立校、個性的な都立勢が絡んでいく展開に、突然現れた高校サッカーにおいて歴史も伝統もない1年生軍団が無欲で挑むという図式でしょうか。

総体予選を一部振り返ってみますと、大東文化大一は都立日野台に0-2(都大会)、堀越は都立三鷹に0-4(都大会)と敗れ、都立福生は都立国分寺にPKで敗れ、関東第一と暁星はともに私立武蔵にPKで破れており、かえつ有明にいたっては地区予選1回戦で日大豊山に3-4で敗れています(というものの負けちゃいましたが1ヶ月前まで中学生で高校生相手にこのスコアというのもある意味すごい)。

組み合わせの妙もあるものの今回2回戦までの結果を見ると、高校年代は一夏越えると伸びるチームはぐーんと伸び、春先とは別のチームに生まれ変わってしまうような場合もあることに気付かされます。

3回戦は10月22日(日)です。この約1ヶ月、これまでの戦いを経て、どこをどう調整し、修正して臨んでくるのでしょう。そして私も1回戦のリポートしました、突如現れた1年生軍団かえつ有明。若いチームですので、これからの1ヶ月でさらに進化するかもしれません。そのときのブログでも書きましたが、マジメに何とも不気味な存在になってきました。ドラマの本番はこれからです。

※下の写真は24日に第4試合で行なわれた早実対都立千歳台のものです。観戦する場所が狭くて座れないにもかかわらず、こんなに大勢のご父兄、卒業生そしてファンが駆けつけていました。お疲れ様でした。

0924vs

2006年9月25日 (月)

都福生vs中大附属

Kumazemi Report 2006-09-24
第85回選手権東京大会Aブロック2回戦
早大東伏見グラウンド(晴)
都福生   vs   中大附属
1
1 前半 0
0 後半 0
0

都立福生と中大附属のゲームです。

都福生は知る人ぞ知る都立の強豪で、私の現役時代(二十数年前)から強豪として現在に至っているすばらしい学校です。何事もそうですが、その地位や存在価値をずっと長い間継続するということは並大抵のことではありません。そしてこの努力の継続は伝統になります。

ちなみに私も20代に所属していた実業団チームで都福生高校卒の後輩(DF)とプレーしていましたが、向こうッ気が強くて相手FWを絶対に自由にさせないって言って鎖骨骨折するまで激しくマークしていたことを思い出しました。

ゲームの方はやや中大附属ペースだったと思います。福生は接戦を予測して自由にさせるとデンジャラスな中大附属の10番の選手(FW)をマークしつつややディフェンシヴで戦うゲームプランだったのかもしれません。

ディフェンシヴに戦うということは、攻撃に多くの人数をかけずにカウンターを狙うということになるのですが、前半にまんまとこれがはまります。0924_3

縦パスに鋭く反応してそのままゴール前まで一直線、シュートも見事に決まりました(写真はその先制ゴールとなったシュートのシーン)。後で連続写真で見たのですが、DFに並走されながらもボール⇒ゴール⇒ボールの基本に忠実でした。よく鍛えられてます。

それにしても福生は表現として不適切かも知れませんが「ニクい」チームです。相手が攻撃に焦ってるとみるや奪ったボールをゆっくりDFでまわしたり、キープしたりしてリズムを断ち切り、相手がこのゆっくりズムに同調してくるとみるや速攻を仕掛けるという、本当「ニクい」チームです。

これをコントロールしていたのは7番の選手でしょうか。DFが奪ったボールを大きくサイドに開いてもらい、行けると思えば小柄なんですが運動量豊富でフィジカルも強そうな11番の選手を絡めて攻撃を仕掛け、ダメだと思えばDFに戻したり、サポートにきたMFに横パス出したりと、心憎いほど落ち着いてプレーするんですね。コレクティブゾーンでこのような多くの選択肢を持って落ちついてプレーできるのも、これまた勝手に決めつけますが、ハイプレッシャー下でもCDAサイクルをきちんと発揮する練習を繰り返し行なってきたからではないでしょうか。

中大附属は一度TFLのゲームを観ましたが、いつもの調子ではなかったのかもしれません。何度も監督からも大きな声で指示が出ていました。この前の1回戦(対桜美林高校)は0-0のPK勝ちだったようですが、得点力のバイオリズムが谷の方にあったのかもしれません。高校生だとこういうことがよくあるんです。というよりプロでもありますよね、攻撃がうまく行ってて毎試合2点以上とってたチームがある日突然得点できなくなって連敗するようなことが。

選手権予選はノックアウト方式になってますので、特に実力が拮抗してくる都大会(つまり決勝トーナメント)には、このバイオリズムを高い位置にして臨むことが勝敗につながったりします。高校生の場合ここらへんの調整が非常に難しいので、指導者の方々やご父兄もかなり苦労されるところなのだと思います。

いずれにしましても守備の意識を高く持って撃ち合いにならないようコントロールし、練習どおりにワンチャンスをモノにして勝つ、という流れを忠実に実践した都福生が3回戦に進みました。

都立福生はの次の相手は國學院久我山を破った暁星です。ビッグネーム相手ですが、平常心でいつもの「ニクい」プレーでがんばって欲しいと思います。

kumazemi's favorite players都福生の7番

2006年9月24日 (日)

都つばさ総合vs学習院

Kumazemi Report 2006-09-24
第85回選手権東京大会Aブロック2回戦
早大東伏見グラウンド(晴)
都つばさ総合   vs   学習院
3
1 前半 0
1 後半 2
1 延前 0
0 延後 0
2

選手権東京都大会2回戦、都つばさ総合高校対学習院高等科のゲームです。地区予選で東工大附属を破ってきたつばさ総合と同じく地区予選で強豪足立学園を破ってきた学習院ということで、実は組み合わせ発表を見たときからマークしていたカードです。

試合前の調整はつばさ総合はポストシュートと3人で大きなサイドチェンジからのシュート練習、学習院はずーっと5対5のポゼッションをやってました。

つばさ総合は7番の選手を軸にボールを奪ったら9番の選手にあてて11番の選手を軸に攻撃し、学習院はFWの11番と14番の選手のスピードを生かす攻撃、という感じでしたが序盤は学習院のペースだったと思います。学習院の14番の選手は、巧みなドリブルにスピード生かした突破でつばさ総合の守備陣を翻弄しますが、つばさ総合もしっかり粘り強く守ってカウンターを狙います。

しばらく学習院ペースだったのですが、前半15分頃、つばさ総合が右コーナーキックのチャンスで学習院DFに競り勝ってヘディングシュートを打ったんのですが、このプレーからつばさ総合が盛り返してきます。そしてペースをつかんだ前半20分過ぎ、左クロスから抜けたボールを6番の選手が押し込んで先制します。

このプレーでは、学習院DFがボールウォッチャーになってしまい、外から上がってきた6番の選手を全く捕まえていませんでした。でもこの決定機をきっちり決めたつばさ総合の6番の選手の落ち着きは見事でした。

この得点の前に強烈なミドルシュートでGKが前へ弾いたチャンスをモノにできなかった直後でしたから大きな1点だったと思います。そして前半はこのままつばさ総合が点リードで終わります。これはつばさ総合のゲームプランどおりだったのではなかったでしょうか。

ハーフタイムで両チームとも戦術などを確認したと思いますが、つばさ総合の守備が落ち着かない時間帯だった後半9分に学習院が同点に追いつきます。技術とスピードを兼ね備えた学習院の14番の選手がつばさ総合のDF3人を引き裂きました(写真左)。学習院は立て続けにこの1分後にも中央から逆転ゴールを決めます。

0924_1 この後学習院は19番の選手のものすごいミドルシュートなども飛び出しましたが、この学習院の19番の選手はヘッドも強く、コンタクトスキルもあり、遠めからでも強烈なシュートを打てるいい選手です。

ただ、後半30分前後から足をつる選手が複数出るなど学習院に疲労の色が見え始め、これもあったのでしょう、明らかに2-1で逃げ切ろうという感じになりました。しかし、「ドーハの悲劇」じゃないですが、サッカーは逃げ切ろうとするとやられるスポーツなのです。ここらへんは本当に過酷なスポーツだと言えます。

後半35分くらいだったと思います。そのときが来ました。すばらしい運動量を誇る11番の選手の左サイドの粘りから、やや緩慢な動きだった学習院DFを抜き差って起死回生の同点ゴールを決めます。学習院の選手はかなりガクッと来てましたね。このままゲームは終了し、延長戦突入です。こうなると力が拮抗している分、勝敗は気持ちの差になります。どちらが勝利への執念が強いか。劇的に追いついた分、つばさ総合の方がややこの気持ちが上回っていたかもしれません。

延長に入って1分くらいです。やや左めからのミドルシュートがGKにあたってゴールインし、つばさ総合が勝ち越します。私からは距離があってよく見えなかったのですが、学習院GKがキャッチミスしたようにも見えましたが、ボールが大きく変化したのかもしれません。この後もつばさ総合は疲れをしらない11番の選手を中心に攻め続けますが、すでに14番の選手を交代してしまった学習院は、FWの13番の選手への縦一本という単調な攻撃を多用していたところを観ると、この時点でもう1点取る力を搾り出せなかったのかもしれません。

このままゲームは終了し、つばさ総合が3-2で勝利しました。

取ったり取られたりのシーソーゲームでしたが、両チームともに積極果敢に仕掛ける選手(つばさ11番、学習院14番)がいて、ちょっとしたプレーで流れが両チームの間を行ったり来たりするスリリングな展開で、面白いゲームでした。またつばさ総合のお母様方の熱い応援もあってとても盛り上がりました。やっぱり高校サッカーはファンとお父さんお母さんとOBがいる限り不滅です。ご父兄の皆様も本当によく勉強されているんだと思います。つばさ総合のお母様方の声援を聞いていて、私は「サッカーをよく知ってるなぁ」と感心しました。

都つばさ総合高校の選手の皆さん、ご父兄の皆さん、指導されている先生方、1ヵ月後の関東第一高校戦>(※参考ゲーム)もがんばってください。次勝てば西が丘です!

kumazemi's favorite playersつばさ総合の11番、学習院の14番

2006年9月20日 (水)

「いい選手」とは

サッカーは手以外の部分を使ってボールを相手のゴールまで運ぶゲームです。

足元にあるボールは次にキックを通じて味方やスペースや相手ゴールに運ばれていきます。運ばなければサッカーになりません。よって自身でボールを保持している場面では、そのプレーヤーは足元のボールを正確に扱うという行為よりも周囲をよく観るという行為に集中する必要があります。じゃないとどこに運べばいいのかわからず、次に進めないからです。

サッカーとは、私が好きな山本七平さんの刊行物から言葉を拝借しますと状況判断⇒決心⇒処置の繰り返しであると言えます。そして、プレーヤーの優劣を判定する基準というのは、ゲーム中に繰り返されるこのサイクルのスピードと精度なのでしょう(あらためて声高に叫ぶことでもないですが)。このサイクルの精度が高いプレーヤーはいいプレーヤーであり、このいいプレーを担保する個人能力として走る速度やボディバランス、ジャンプ力、体幹強度、持久力などがあるのだと思います。「処置」にボールのあるなしは関係ありませんので、このサイクルはゲーム中いたるところで行なわれています。私はこのサイクルについて、高校年代が上位カテゴリーに挑戦する際に最もしっかりと体得しておかなけらばならないものとして『CDA(Catch⇒Decision⇒Action)サイクル』と勝手にネーミングさせていただきます。

なお、付け加えますがサイクルの3番目の「処置」には「作戦」が必要で、「作戦」とは相手の「弱点」もしくは「死角(ウラ)」を突くことであることは言うまでもありません。

なぜ、こんなことを書いているかといいますと、いくつかゲームを取材していていわゆる強豪校とそうでない高校が当たった場合の試合結果は、ほとんどが『CDAサイクル』のレベル差ではないかと感じたからです。

高校生の公式戦なんかを取材しますと、ゲーム開始前の調整練習では、リフティングなどで体をほぐし、その後フリーの状態でのポストシュートやクロスに合わせる練習などが多いですね。リミテッドプレッシャーでやっているところも多少はありますが、ほとんどがフリーでやってますので上手だなぁという感じは掴めたりします。

でもこの練習だけを見ていると強豪校もそうでない高校の子もそんなに大きな技術差が感じられないのです。みんなものすごくうまいです。今やサッカーも底辺が広がり、少年団などで小さい頃から始めた子も多いでしょうから当たり前といえば当たり前なのですが、それにしても本当にみんな上手です。私の時代では考えられません。私の時代は、だいたい強豪校とやるときはゲーム前の調整練習観て「やっぱすげぇや」と思い知らされ、すでに負けてました。

話は戻りますが、このようにフリーな状態での個々の技術のレベルに大差はないのに、試合になると大差になってしまうのは、ゲームになるとその技術が『CDAサイクル』のスピードと精度に活かされないからなのです。フリーではそこそこの技術が発揮できるのに、ゲームだとできないというのはプレッシャーのある状況下や複雑な状況下になるととたんに発揮できなくなるということなのです。

なぜなのかは私にはわかりません。

分析能力の長けた方々にゲームで『CDAサイクル』を速く正確にプレーできる頻度の高い選手について、その幼少期から追っかけてみていただいたり、実際に今どういう練習をしているのかを分析してみたりしていただかないと、わかりません。

ただ、何となくですが幼少期から少年期(ゴールデンエイジ)までの基本技術の習得過程にヒントが隠されているような気がします。

2006年9月18日 (月)

大東文化大一vs東京実業

Kumazemi Report 2006-09-17
第85回選手権東京大会Bブロック1回戦
都葛飾野高グラウンド(曇)
大東大一   vs   東京実業
3
2 前半 0
1 後半 0
0

都葛飾野高校で行われた選手権Bブロック1回戦です。

到着が遅れてしまい、後半のみでフルタイム観戦できなかったので、選手のことを考えますと書くことは申し訳ないのですが、双方闘志むき出しの激しい試合で、すばらしい選手もいましたのでご容赦ください。

大東文化大一は何と言っても13番の選手が中心です。攻撃の起点になり、自らもゴール前でも勝負し、キックの精度も高いです。大東大一は守備も強く、バイタルエリアでも速いつぶしで東京実業はなかなか決定機を作れなかったです。

東京実業はリードされている焦りからか、ファウル気味のあたりが多かったように思います。そして後半25分くらいだったでしょうか、ゴールまで25mほどの中央の位置で相手にFKを与えてしまいます。

このFKのチャンスに、先にご紹介した大東大一の13番の選手がキッカーとしてボールに寄ってきました。ボールをセットして助走をつけて振りぬかれたボールは東京実業ゴールにあっという間に吸い込まれました。09173fk_1

写真はそのFKの場面です。周囲に緑の選手は誰もいないことがわかりますが、味方はみなゴール前でこぼれ球狙いです。

大東大一はここら辺の位置でのFKは13番の選手に直接狙わせるのがチームの決まりごとなのでしょうね。このあたりからも13番の選手がチームの中心で高い技術とセンスを持っていて、チームの精神的支柱であることがうかがえます。

大東大一はこの13番の選手に10番と11番の選手が絡んでいき、攻撃を形作るのですが、パス交換がスムーズにいって一気にゴール前まで行くと迫力があります。

対する東京実業は後半だけを見る限りでは、この時点ですでに2点のビハインドということもあったと思いますが、あまり調子がよくないような感じでした。地区予選を一度観戦しましたが、相手が異なるとはいえ本調子でなかったのでしょうか。あの時は立て続けにセットプレーから得点してペースをつかみ完勝でしたが、後半に限ってですが今日は不発でした。

パンフを見ますと両チームとも2年生主体の若いチームのようです。特に東京実業は1年生の登録選手が多いようですので、これからが楽しみなチームです。

なお、昨日の都大会1回戦で成立学園が堀越に3対3の同点からPKで破れて初戦で姿を消し、暁星は地区予選で本郷を撃破した都江北に対して2対1という辛勝というニュースがありました。

次の2回戦の注目カードは国学院久我山vs暁星、国士舘vs都駒場、修徳vs堀越あたりの決勝並みのカードでしょうか。ただ個人的には都葛飾野が東京朝鮮にどう挑むかとかえつ有明に興味を持っています。

kumazemi's favorite players大東文化大一の13番

2006年9月17日 (日)

かえつ有明vs都石神井

Kumazemi Report 2006-09-17
第85回選手権東京大会Bブロック1回戦
都葛飾野高グラウンド(曇)
かえつ有明   vs   都石神井
1
0 前半 0
1 後半 0
0

いよいよ選手権東京都大会が始まりました。このブログで情報いただいたこともあり、かえつ有明高校都石神井の一戦を観にいきました。写真は試合開始直前のかえつ有明高校の様子ですが、反対側で試合前の練習をする石神井とは対照的に、かえつ有明はフィールドで調整することは一切なく、監督からの指示の徹底のみがなされてました。ご存知の方も多いと思いますが、このかえつ有明の中込監督は元アビスパ福岡に所属していた元Jリーガーです。世代的には井原正巳さんと同じで、Jリーグ発足前もPJMフューチャーズとかで活躍された方です。そしてこのかえつ有明高校はもともと嘉悦女子高等学校という女子高だったんですが、本年度から男女共学になった学校なので、この選手権予選の登録メンバーは全員1年生なのです。したがいまして元Jリーガー監督がオール1年生で都大会に乗り込んできた、というわけであります。

このように話題が豊富なかえつ有明ですが、都大会1回戦では地区予選で東亜学園を破って勝ち進んできた都石神井高校と当たることになりました。

ゲームは開始10分くらいまでは一進一退でしたが、徐々に石神井が押し込んでいきます。22分の石神井10番の選手のドリブルシュートは惜しかったですが、かえつ有明も体を張ってよく守ったと思います。このように左右をワイドに使って組織的に攻めて組織的に守る石神井に対し、かえつ有明はどちらかというとこの技術を活かしながら、ボールを奪ったら速攻気味に早めに前線の10番と11番の選手に供給する、という感じでした。

ただ、びっくりしたのはかえつ有明の選手の個々の能力です。さすがに顔つきは半年前までは中学生ですからあどけないのですが、全員が1対1にめっぽう強く、基本技術もフィジカルもとても1年生とは思えないレベルなのです。特にDFの4番の選手なんか年ごまかしてんじゃないかと思うほど高校年代では完成の域にあるくらいの選手でした。また、GKもすごいです。特に飛び出しの判断とパンチングの技術は一級品ですね。石神井の攻撃は最後の最後にことごとくこの4番の選手とGKに跳ね返されていました。

ゲームは前半終了間際にかえつ有明に10番の選手の抜け出しからのシュートと右CKからの惜しいヘディングシュートがあったものの、終始石神井優勢のまま前半は0-0で終了しました。

後半に入って47分、石神井が右サイドを崩してゴール前絶好のポジションの選手にボールを供給、決定的場面を作ります。しかし、ここもかえつ有明のGKのファインプレーで得点できません。

この数分後、今度はかえつ有明が左CKからチャンスを作り、一度はクリアされますがそれを左サイドの選手が拾い、低くて速いシュート気味のボールを入れ、これにダイレクトで合わせてかえつ有明が先制します。0917_1(写真)

これで2点入れないといけなくなった石神井が激しい攻撃を仕掛けます。54分にはものすごいボレーシュート(クロスバー直撃)、55分にGKと1対1(かえつGKがファインセーブ)、56分には左CKから飛び出してしまったGKの頭上を狙ったヘディングシュート(惜しくもゴール上のネットに落ちる)など怒涛の攻撃を仕掛けました。

しかし、ここでもかえつ有明は4番の選手とGKを中心によく集中して守り、1人1人がしっかりとしかも速く体を寄せてこの怒涛の3連発を防ぎました。

65分には逆にかえつ有明がカウンターから11番の選手がスピードと持ち前のボディバランスの良さを駆使して中央突破を図りますが、石神井が3人がかりで止めます。(写真)09173df

70分には石神井が中央ややセンターサークルよりの位置からのFKとその後の前線の選手の粘りから決定的なチャンスが生まれますが、惜しくもシュートミスで得点できませんでした。石神井にとってはこれは痛いミスでした。時間帯からいってミスってはいけない決定的場面だったのですが・・・。

一方、かえつ有明は先制してからさらに出足がよくなり、後半の中ごろを経過しても寄せが遅れることもなく、攻撃に切り替わったときのスピードも全く落ちません。コンタクトスキルも持久力も相当のものがあります。

結果的にゲームはこのまま1-0で終了、1年生軍団かえつ有明が勝利しました。ラスト5分、かえつ有明ベンチは「全員で(最後まで)やり切れ」と声をかけますが、監督は終了直前という時間帯でも11番の選手に、ヨコへの動き方やDFをよく観ることなど技術的戦術的指示をされていました。

石神井はグラウンドをワイドに使って左右に揺さぶり、サイド攻撃を中心に激しく攻撃しましたが、やはり後半15分過ぎの立て続けのチャンスと後半20分の決定的チャンスで得点できなかったことが最後まで響いてしまった気がします。内容的には決して悪い内容ではなかっただけに残念でした。相手の強さとかレベルといった感覚はやっている選手だけが正確に知り得るものですが、石神井の方に足をつる選手が複数出ていましたので、たぶん我々観戦者が思っている以上にかえつ有明の攻守の切り替えが速く、プレッシャーがきつかったのではないでしょうか。逆から言えば伝統のある強豪校石神井相手に1年生だけでこれだけのプレーができるかえつ有明の選手の能力は技術だけでなく精神面でも相当なレベルであるということです。

若いチームは乗ると力以上のものを出すといいますし、かえつ有明はBブロックで何か旋風を巻き起こしそうな雰囲気になってきました。右下の写真はかえつ有明FWコンビです(出身中学も同じみたいです)。

0917fw

kumazemi's favorite playersかえつ有明の4番、11番

2006年9月16日 (土)

拝啓 東京都教育委員会さま

9月9日のブログで「一貫指導」と題して勝手なこと書いたのですが、それにちょっと関連することとして、今読売新聞の教育ルネッサンスという特集で連載している「部活激変」という記事に触れたいと思います。

その中の9月14日付の記事で福岡県のある中学校サッカー部の顧問をされている教員の方を取材した記事があります。これを読むと教職にあって部活の顧問をされている先生の苦悩がわかります。

よく読んでいきますと東京都教育委員会は部活動の位置づけの見直しに着手し、規則を改正して部活動を正式に教育活動の一環と明文化したそうです。なんと部活動は学習指導要領(文部科学省が告示する教育課程の基準)から抜け落ちていたのです。

ということは(少々極端ですが)今まではそのスポーツや文化活動や科学研究等、やりたいという生徒だけ集めて行う単なる先生の趣味だったということになっちゃうんですが、大体未成年に大人があることについて教え導くんですからどう見たって教育ですよ。

何をいまさらって感じです。

この改正では週末の部活指導について代休と手当受給の選択ができるようになったそうですが、その選択時期は「週末の部活指導の申請を校長にする際に」、と書いてありますので、要するに休日出勤として認められたということなんですね。

ここに書いてある手当額(時給だと思います)が妥当なのかどうかは私にはわかりません。ただ、時間で払うという感覚がしっくりこないんですよね。勉強はかけた時間に比例して習得していくのは理解できます。でも、スポーツや音楽とかは全てが時間かけりゃいいってもんじゃないです。なんてたってクリエイティヴなものですから。

晴れて教育の一環と明文化されて代休や手当が創設され、一見よくなった感があるんですが、代休や手当がつくということは「勤務」という位置づけになりまして、「勤務」ということは「使用者の指揮命令下」にあるということになりますから、顧問の先生方が変に管理強化されるんじゃないかという心配がおこるのであります。 「創造力はないが権限だけはある人」「優秀かつ個性的な指導者」が管理されて、その創造力が発揮できなくなくなったら本当に困るのであります。

東京都教育委員会の皆さま、地域クラブが部活の代役を果たしていることと部活指導の先生方の指導環境を改善することは全くもって別次元の話であることを理解し、問題解決に向けて一歩踏み出したしたことはすばらしいことであります。ただ、ファンとしましては15歳以下の選手たちが繰り広げる面白いサッカーが、無機質な単なる肥満防止の運動にならないよう、中学校の部活と地域クラブとの連携強化を促進するなど、今後も手を抜かずにご尽力いただきますようお願い申し上げます。

2006年9月14日 (木)

選手権東京予選激闘の記憶3

2005年の選手権Aブロック決勝、修徳高校vs都立三鷹高校戦です。

このゲームもなにやら因縁めいた戦いで、前年は準決勝であたり2-1で修徳が勝ちました。そして修徳は決勝で劇的に帝京を破って全国選手権へ出場しています。三鷹にとっては前年度のリベンジということになるのですが、修徳の向笠先生と三鷹の山下先生はともに20年以上高校生の指導に携っている大ベテラン、しかもお二方とも日体大出身で旧知の仲です。

この試合はメインスタンドではなくてスコアボード側のゴール裏で見ました。

普通、都立高校が名門強豪校と当たる場合は、いわゆる名前負けしかねないものですが、三鷹は気合が入っていながら適度に落ち着いていて名前負けはしていなかったように見えました。

ゲームは前半早々に都立三鷹が先制します。思い切り良く振り抜いたミドルシュートでした。修徳のGK山下選手は国体東京選抜(現東京学芸大)ですばらしい選手でしたが、飛んだコースはそれほど防ぎきれないコースではなかったように見えたので、ボールが落ちたか、鋭く変化したか、はたまたDFの影から飛んできたのでしょう、いずれにせよ見事なゴールでした。しかし、山下先生はしきりに「まだ前半だ」と伝えていました。浮き足立つことを抑制しようと思われたのだと思います。しかし、選手権予選決勝で修徳相手に先に1点入れた三鷹が興奮するのも仕方がなかったです。

でも、これで観る側としては面白い展開になりました。

しかし修徳はさすが名門です。先制されても追いつかれても決して慌てず諦めず、自分達のスタイルを崩さないで攻撃する強い精神力を持っています。失点することを恐れる三鷹は徐々に中盤での主導権を握られ始め、修徳は主に右を使った得意のサイド攻撃を繰り返します。

このまま1-0で終わればと思っていましたが、その右サイドからの攻撃から修徳脅威の1年生FWがヘッドで同点ゴールを押し込みます。ゴール裏にいたので目の前で見ることができたのですが、「これで1年生かよ」と唖然としました。修徳では3年生でベンチに入るだけでも大変なのに、1年生でレギュラーになって決勝もスタメンで出てくるんですから相当非凡なのでしょう(今年どう成長しているか楽しみですね)。

ゲームの方は前半このまま1-1で終了しました。修徳は競り合いに強いので、願わくば三鷹としては1-0で終わりたかったと思います。ここまでの経過を見ても、修徳は準々決勝対都立駒場2-1、準決勝対駒大高校には2-1と失点しながら1点差で勝ってきてますし、前年度の二次リーグと決勝の二つの帝京戦のVゴールとロスタイム決勝点、その前の一次トーナメントでの成立戦のVゴールからも競り合った展開のときのその凄まじい精神力わかります。

後半に入って予想通り開始直後から激しい攻撃を仕掛けた修徳は後半開始早々あっさりと2点目を入れ逆転します。

三鷹高校も何とか精神力を維持して反撃を試みますが、息を吹き返して「虎」と化した修徳から得点を奪うことはできず、終了間際にも3点目を許して万事休すとなりました。

でも、とてもさわやかなゲームでした。「王者対挑戦者」という感じで、試合後もとてもいい空気が流れていたのは東京都教育庁の広報からもわかります。

そしてここに三鷹高校の山下先生のコメントが載っています。

『定時制併設校のため平日の練習は1時間半しかできないので、朝の授業前に自主練習を行ったり、短時間で効果的な練習の工夫をしたりしてきました。私立の強豪を破り、ここまで勝ち残れて最高です。今年の生徒は自主性を持って一生懸命やってくれました』

自主性を持って一生懸命やる子供達+きちんとした指導理論を持つ熱い指導者=子供達にかけがえのない経験を付与⇒一人一人が誇りを持つ成熟した明るい社会⇒国際社会で真のリーダーたる日本

ちょっと大げさになってしまいましたが、高校のサッカー部は優れたサッカー選手を育成するだけの場だけではありません。人間教育の場でもあります。

かくいう私も20年以上前、山下先生にも向笠先生にも指導を受けたことがあります。選手としては下手っぴでしたが、大きく迂回旋回しながら結局この年になってまでサッカーに浸かってます。一応今日の日記ではヨイショしたつもりですが、もし山下先生がこのブログを見てしまい、その後「くまぜみってお前だったのか」と知られたら「お前何やってんだ」とぶん殴られること間違いナシです(笑)。