佐野日大vs履正社
Kumazemi Report | 2023-01-02 |
第101回全国高校サッカー選手権3回戦 |
駒沢陸上競技場(晴) |
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選手権3回戦@駒沢陸上競技場です。初戦で後半アディショナルタイムでの劇的弾で初戦を突破した佐野日大とプレミアウェストで戦ってきた強豪履正社の戦いです。
2回戦で盛岡商業を6対0で撃破した履正社の攻撃力を佐野日大がどう凌いで接戦に持ち込むか、ここが観戦のポイントでした。
佐野日大は3,4,5,6番の選手で構成するDFラインに、攻め込まれそうな局面では7番吉岡選手が最終ラインまで降りてくる変則的な5-3-2のフォーメーションで履正社の攻撃を封じる作戦です。
対する履正社は、高いボール支配率から10番名願選手を起点にエースストライカー9番古田選手でフィニッシュに持ち込む作戦です。
しかし、さすがの履正社も、この佐野日大の変則5-4-1&マンマークスタイルに苦しみ、なかなかこじ開けることができず決定機を作れません。ボールは持てるのですが、なかなかフィニッシュに持ち込めないという少しストレスのかかる展開になります。
佐野日大も、押し込まれても簡単に陣形が崩れませんし、マークがずれたり捕まえ損寝たりすることが少なく、相当守備が鍛えられているのがわかります。ここのところ矢板中央が栃木の覇権を握ってきた中、今回6年ぶりに選手権出場を果たした理由は堅守にあったのではないでしょうか。
このように履正社がゲームを支配するものの佐野日大の堅守が効いて前半スコアレスで折り返します。
ハーフタイムで両校1人ずつ選手交代をして始まった後半開始直後でした。佐野日大が敵陣左サイドで得たスローインでロングスローを選択、ゴール前にまで投げ込んだところで混戦となり、こぼれたところを5番青木選手が蹴り込み、押されていた佐野日大が先制します。
ここまで危ない場面はほとんどなかった履正社が、ワンチャンスで失点してしまい、追いかける展開となります。
それでもボールを保持する時間が長い履正社が優位に進め、後半から入った16番森田選手が徐々に効き始めます。右にワイドに開いて、チャンスと見れば仕掛け、難しければ中央に折り返して逆サイド展開の起点になり、佐野日大のディフェンスラインを揺さぶります。
後半12分、リードする佐野日大ベンチが動き、10番大久保選手に代えて23番福田選手を投入します。残り30分を切って中盤を1枚厚くする判断だったかと想像します。
しかし、後半19分でした。ワイドに構える履正社16番森田選手が右サイドで仕掛けるも無理せず中央へ、ここから左サイド10番名願選手へボールが渡り、受けた名願選手がタテへ突破、佐野日大DF振り切って角度のないところから右足一閃、ついに履正社が同点に追いつきます。やはりここ一番、頼れるエースが起死回生のプレーをやり切りました。
ここから履正社が押せ押せになります。前半あまり強引なプレーはなかった感がありましたが、ドリブルで仕掛ける場面が多くなり、攻撃に厚みが出てきます。守る時間が長く続く追いつかれた佐野日大ですが、気落ちすることなく集中して守ります。
ここで後半35分、佐野日大が後半から投入した9番中埜選手に代えて2番長身の緒方選手を投入、5-4-1の布陣で守り切る体制を整えます。
ゲームは最後まで履正社が支配しましたが、2点目を取って突き放すことができずにこのまま1対1で終了、ベスト8をかけた戦いはPK戦に委ねられます。
履正社先攻で始まったPK戦は、5人全員がきっちり決めた佐野日大が5対4で押し切り、佐野日大のベスト8進出が決まりました。
先に行われたワールドカップ、勝てばベスト8の決勝トーナメント1回戦で日本がクロアチアに先制しながら追いつかれてPKで敗れたのは記憶に新しいですが、トーナメントである高校選手権でもこのベスト8をかけた3回戦の戦い方が最も難しいのではないかと思いました。決勝戦以外は延長戦なしでのPK決着がレギュレーションとなっている以上、格上相手に守りに守ってワンチャンス狙う戦術は王道であります。今日の佐野日大はこれがばっちりハマりました(といってもこれを80分やり切るのにも相当の実力が必要なことは言うまでもありません)。
前橋育英は言うまでもなく、矢板中央しかり、北関東のチームはしぶとく勝負強いですね。あっぱれです。
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