公認指導者研修with全日本ユース決勝
本日、JFA公認指導者研修があり、そのカリキュラムとして高円宮杯全日本ユース(U18)サッカー決勝の試合視察があり、埼玉スタジアム2002にて観戦しました。
- 10:30~12:00 講義
- 13:00~15:00 試合視察
となっていまして、講師はJFAナショナルトレセンコーチの布啓一郎さんでした。市立船橋高校を4度の全国選手権優勝に導いた言わずと知れた名指導者です。
講義はまず前半が「2006ドイツワールドカップのテクニカルレポート」でした。ベスト8のうち6ヶ国が優勝経験国であったことをあげ、2006大会を強豪国の2002からの巻き返しの大会であったと位置づけ、チーム全員に高度な技術・闘う姿勢・ハードワークが求められ、もはや何かを免除されるスーパースターは存在しない「甘えの許されないサッカー」に進化しているとしました。守備をしない攻撃型スター選手の穴埋めを「汗かき選手」がするようなサッカーでは全く通用しないということです。
また、得点に要した時間が10秒以内だったケースが2002年の53%から34%に激減し、また得点に要したパスの本数が3本以内だったケースも2002年の55.1%から41.5%に減少しており、ボールを保持しながら積極的にゲームを支配する攻撃が目立った大会だったそうです。強いチームは速攻させないんですね。ただこれを可能にするのは何も特別な技術ではなく、いたってシンプルな技術(ファーストタッチ、パススピード)なのだとおっしゃっていました。
実際の映像を観ながら布さんが解説を加えていただく形だったので、よくわかりました。取られたら取り返す、危険を察知したらポジション関係なく守備に入る、ここぞと判断したらセオリー無視してでもボールを奪いに行く、足先で行くのではなく体でいく、チャンスとみれば後半20分過ぎでも長い距離を走る・・・早い話が「組織の一員としてちゃんと真面目に一生懸命努力しろ」ってことです。
日本サッカー協会小野技術委員長がJFAニュース9月号で詳しく語られていますが、私もこのスタイルは日本人に合っていると思っている一人です。集団で真面目に努力し、組織のために自分の役割を必死に果たしてきた日本人には、このスタイルは馴染むのではないかと思うのです。逆に今の「ゆとり教育」ではないですが、「個」が全てにわたってものを言う仕組みは日本人にはあまり向いていないのではないでしょうか。
しかし、このチャンスをモノにするには個々にその役割を果たせる能力があることが条件です。この条件とは布さんも言っておられましたが、何も特別なことでない「基本」です。よって少年期の指導者は子どもたちにまず「基本能力」を付与しなければならないということです。そしてその基本には「仲間のために苦しいけどがんばれる」能力が必要なのではないしょうか。
準決勝イタリアvsドイツ戦のデルピエロ選手のゴール。自陣ゴール前まで下がって守備をしていたデルピエロ選手は、自チームがボールを奪い返した瞬間、ドイツが前がかりで守備陣形が整っていないと判断するや否や、チャンスと観て左サイドを一気に駆け上がりゴールを決めました。あれだけのロングランもさることながら、デルピエロ選手が何よりチームメイトを信頼して一生懸命プレーしているところに感動しました。
「俺にパスが出ないかもしれないが、出れば大きなチャンスになるから必死に走る」これを理屈じゃなくて体得してゲームで繰り返しプレーできるようになったらすばらしいことだと思います。
講義の後半のテーマだった「ユース年代の育成」は次の機会に触れたいと思います。
なお、全日本ユース決勝ですが、前半は名古屋優勢でしたが、滝川第二高校は劣勢の中9分にミドルで先制すると後半は中盤を制して優勢に試合を進め、35分に右サイドに引っ張られてバイタルエリアがぽっかり空いた隙を逃さずミドルシュートを決め2-0、42分にはダメ押しのFKを直接決めて結局3-0で滝川第二高校が勝ち、初優勝を飾りました。
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