子どもの体力
YOMIURI ON LINEのヘッドラインに「小中高生の体力低下続く、朝食抜きの影響明らか」というのがありました。朝食を食べなかったり、テレビを見る時間が長かったりする子供の体力は相対的に低いそうです(2005年度「体力・運動能力調査の結果)。
私のアーカイブにも今から4年前の2002年に読売新聞が特集した「子どもカラダ事情<体力編>」という記事があります。この記事では
- 親たちが子どもを外で遊ばせない
- 学習指導要領の変遷
に関係があるのではないかと仮説を立てています。
そして、親たちが子どもを外で遊ばせない理由として、外は危ない、テレビゲームがある、せっかくの公園もボール遊び禁止である、などを示しています。また、学習指導要領の方は、戦後:「身体の正常な発達」→1968:「体力の向上」→1977:「運動に親しませる」→1989:「楽しさを教える系傾向を強調」と変遷を経てきたことで、確実に体を動かす場として学校の「体育の授業」が「初めに基礎・基本を教えて」いくやり方から「まず試合をやって、おもしろさを教える」やり方に変わってきたことなどを上げています。
さらに記事は、この時の中央教育審議会(中教審)スポーツ・青少年分科会による子どもたちが運動不足になった原因を「時間」「空間」「仲間」の減少ととらえた報告案を紹介し、国民一人ひとりが体力の重要さを認識できるかが、国の将来さえ左右しかねない、とまとめています。この分科会報告案は『「このまま子どもが成人した」将来について「我が国の社会が沈滞してしまうのではないかと危惧する」』とまで言い切っていたそうです。
ただ、記事に出てきた文部科学省スポーツ・青少年局の「ムチを振れば、体力は上がる。昔は先生の笛一つで成果が上がったが、一方でたくさんの運動嫌いを生み出してしまった」という説明と「運動に親しんで生涯にわたってスポーツを楽しむことで、結果的に体力向上に役立つ」という信念にも説得力があります。
と、2002年の話を長々と書きましたが、現在は2006年です。それももうあと3ヶ月で終わりです。この4年で中教審がまとめた『「時間」「空間」「仲間」の減少』という課題認識はどういう成果につながったのでしょうか。新たに「朝食抜き」という原因が出てきたところに「あらっ」と感じてしまいました。
ちなみに2005年度の体力・運動能力調査では、私が取材の主たるターゲットとしている高校3年生(17歳)の男子持久走と女子ハンドボール投げは過去最低だったそうです。
日本サッカーはドイツワールドカップで敗れましたが、14年前にプロができてから技術・戦術はそれ以前よりはるかに向上しました。底辺も拡大しました。ただ、何か一方で毎年少しずつぽろぽろ落っことしているものがあるような気がしてならないのは私だけでしょうか。
写真はある東京の公園です。時間だってその気になれば作れるし、場所だってたくさんありますよ。「やる気」があって、それが「本気」ならできるはずです。会議室でロの字になって議論したところで解決なんてできません。みんな外へ出よう!
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