修徳vs綾羽
Kumazemi Report | 2014-01-02 |
第92回全国高校サッカー選手権2回戦 |
駒沢陸上競技場(晴) |
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快晴の駒沢陸上競技場、全国選手権2回戦です。
開始2分、ペナルティエリアすぐ左25mのFKで綾羽が最初のチャンスを掴みますが、これは枠をとらえることができません。修徳も前線からの激しいプレスで応戦しますが、奪った後のクサビのパスに綾羽DFがきっちり対応、特にDF5番の選手の読みの鋭い忠実な守備にチャンスが作れません。勝てば16強ながら初戦ということで硬さもあってか、両校なかなかボールが収まらず、やや大味な展開が続きます。
綾羽はさすが野洲を破って代表になっただけあって技術が高く、奇をてらうことなくオーソドックスにサイドから攻撃を仕掛けます。ただ、前半20分過ぎても一向にブレない修徳の高い位置からの激しいプレスにやや手こずっている感がしました。
修徳は結果的に激戦を制した形になったものの3失点を喫した都大会決勝からきっちり守備を鍛え直してきました。とはいえ相手も厳しい予選を勝ち抜いてきた代表校ですので、勝敗の鍵はこのエネルギーの消耗を避けられないプレッシングを80分やり続けられるかがポイントになります。
前半はお互いが相手の良いところを消す形でスコアレスで折り返します。
後半、先に修徳が動き、ゲームの流れを変える切り札である14番関選手をアタマから投入します。小柄ながらスピードに乗ったドリブル突破を武器にする選手です。前半は両校ともやや熱くなっていつものサッカーができなかった点をハーフタイムに修正、特に綾羽はボールをきちんと保持し、ときおりドリブル突破も絡めた攻撃を展開します。
それでも修徳は高い位置からの激しいプレスをやり続け、ゴール前でも集中切らさずミスのない対応でじっとチャンスを待ちます。攻撃の回数や精度を犠牲にしてでもピッチにいる選手全員が足を止めずに激しくプレスに行くという守備に力点を置いたプランは狙い通りに進行していきます。
それでも後半15分過ぎまでは完全に綾羽のペース、中盤で受けるプレスの後のルーズボールも拾えるいい時間帯になり、ゴールが生まれる予感さえしました。後半14分の右クロスにファーサイドでフリーで打てるシュートチャンスがありましたが、一瞬の判断の間に修徳DFが体を寄せてチャンスを逸します。これは綾羽にとっては決めておきたいビッグチャンスでした。
押し気味の綾羽は後半28分に8番の選手に代えて11番の選手を投入、対する修徳は29分に2番の選手に代えて13番の選手を投入、PK戦突入を睨みながら80分で決着をつけるべく両校ベンチが動き出します。
そして後半34分でした。ペナルティエリア左のすぐ外側で修徳7番佐藤選手の仕掛けに綾羽の選手がファウル、修徳がFKを得ます。これをエース10番田上選手が右足一閃、放たれたボールはプロ並みの軌道でゴール右スミに吸い込まれ、修徳が先制します。
これは圧巻のFKでした。後半序盤に綾羽に流れたリズムを前半から休まず続けた激しい守備で耐え、信じて待ち続けた末に訪れた残り時間10分を切った場面での直接FKを一発で決めるというしたたかさ、本当にあっぱれでした。
綾羽はこの後2人の選手を代えて勝負に出ますが、最後まで足も集中も切らさなかった修徳の守備を崩すことはできず、このまま1対0で修徳が勝利しました。
昨年の京都橘しかり各地域に新しい強豪校がどんどん生まれていく中、この綾羽もおそらく近畿地方で一定のポジションを確立する学校になるでしょう。今回は負けてしまいましたが、この経験は必ず次代のチームに生きるはずです。
國學院久我山が初戦で敗退するという流れの中、2年連続出場の修徳にかかっていた初戦の重圧はすごかったと思いますが、8強がかかる次戦も重圧がなくなるわけではありません。プレッシャーを撥ね退けるのではなく、楽しんでしまうつもりでいつもどおりの堅守速攻をお願いします。
取材:TEAM kumazemi & kumazemi's son
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