帝京vs成立学園
Kumazemi Report | 2007-11-11 |
第86回選手権東京大会Aブロック準決勝 |
西が丘サッカー場(霧雨) |
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準決勝西が丘会場第1試合、“横綱対決”です。誰もが注目するカードでしたのでたくさんのファンがつめかけましたが、曇天の西が丘には何とも言えない雰囲気が漂ってました。
両校とも立ち上がりから気合十分闘志むき出しのプレーを見せ、「これは壮絶な試合になるな」と予感させます。成立学園は開始2分で右サイド攻撃からCKをゲットするなど序盤はやや成立学園押し気味だったと思います。8分には10番大津選手が巧みな個人技からシュートを放つ(これは惜しくもポストにはじかれる)など成立学園の高校生離れした攻撃が展開されていきます。
対する帝京はしっかり守ってカウンター狙いという感じですが、サイドを広く使うようなことは少なく、ドリブルやショートパスで中をこじ開けるシーンが目立ちました。しかし、これは作戦だったようです。上述大津選手の惜しいシュートの直後の9分、帝京は中央への攻撃から6番の選手が思い切りのいいミドルシュートを撃ち、これが左スミに突き刺さって先制します。バイタルエリア付近で一瞬マークが甘くなったところを躊躇せずにあのような正確なシュートを撃てるところはさすがです。
しかし、この後追う展開となった成立学園に悲劇が起こります。DFマイケル選手が2枚目のイエローで退場となってしまったのです。14分のことでした。会場は何ともいえない雰囲気になりました。開始15分足らずで主力選手を1人欠くことになった成立学園ですが、このムードを断ち切るように激しく攻撃を仕掛けます。横綱は精神力も本当によく鍛えられています。
押せ押せになってきた帝京は9番の選手がよく動いてボールにからみ、14番の選手の冷静な配球からチャンスを作りますが、まだ成立学園優勢の展開が続きます。ただ、攻撃がほとんどシュートで終わるので、押されているのに流れが悪くならないのです。ここらへんもやっぱり横綱は違います。
1人少ない成立学園もいい流れで猛攻を仕掛け、両横綱がっぷり四つで展開されていきます。このまま前半終わるかなと思い始めていた35分、厳しくマークを受けながら正々堂々と帝京守備陣に挑む大津選手と一緒にここまで主力選手として成立学園を引っ張ってきた8番菅野選手がゴールエリア付近から流し込み同点に追いつきます。前半はどよめきと驚嘆の声が入り混じる中タイスコアで終了します。
後半は前半と異なる展開となります。速いプレスで成立学園の高い技術+スピードの突破を封じ、豊富な運動量と一瞬でも“間”が空けばあっという間に前を向いてシュートを放つ10番新選手の活躍など帝京の動きががぜん良くなり、一方的な展開となります。成立学園は接触プレーで傷んでしまったで9番の選手を交代させざるを得なくなるなど帝京相手に1人少ないハンデがじわじわ効いてきていたのかもしれません。
とにかく帝京が押していました。くどいようですが攻撃がシュートで終わることが多いのでそれだけCKを獲得する機会も多く、このようなセットプレーでの守備機会が多かったのも疲労につながっていたのかもしれません。それでも成立学園はGKの選手を中心に集中切らさず声を掛け合い、必死に帝京の攻撃を防いでいました。19分に帝京9番の選手からゴール前7番の選手にボールが渡ったときの成立学園の速いタックルは見事でした。ただ、28分にはGKのキックミスを拾われてピンチを招き、直後にはゴール前の浮き球の処理に手間取ったところからGKと1対1になる決定的な場面があったりとどんどん帝京の圧力が増していきました。でも大津選手も自陣ゴールライン付近まで猛ダッシュで戻って守備したりと本当に成立学園は死力を尽くしていたと思います。ゲームはこのまま終了、延長戦に突入します。ちなみに両校のCKですが、帝京が9本(前半2本)成立学園が3本(前半2本)でした。
延長ですが開始直後の2分に左サイド突破から放たれたシュートがクロスバー直撃するなど帝京有利だなと思っていましたが、成立学園も息を吹き返し、大津選手も疲れているはずなのですがこれでもかと突破を図ります。ここでもときおり右に張り出す9番の選手がボールに絡むと帝京にチャンスが訪れるという場面が多かったです。
延長後半に入ると帝京ベンチが動き出し、3分に18番の選手が、10分に13番の選手がピッチに入ります。もうここまでくると精神力です。でも1人少ない成立学園ですが、よくここまで動けますね。このチームは鍛えられ方が違います。個々の才能もさることながらきちんとトレーニングを積んでいなければ帝京相手にハンデ背負ってこんなゲームはできません。延長後半11分に帝京が速攻から掴んだチャンスでシュートまで持って行きましたがこれもポストを直撃、がんばる成立学園に運も味方しているかのような展開でした。そしてタイムアップ。決着は私が最も恐れていたPK戦でつけることとなりました。
結果は5人のキッカーのうち4人が決めた帝京が勝ち、決勝に駒を進めました。対決が決まったときから当事者である両校関係者、ご父兄、選手の友人知人、高校サッカーファンと大勢の人が注目していたカードです。こんな中、大観衆の西が丘で平常心でやれという方が無理です。でもこの両チーム、立ち上がりこそややファウルの目立つ気合入りすぎの場面もありましたが、この点を見事にコントロールした穴沢主審の手腕もあってすばらしい感動のパフォーマンスとなりました。ファーストタッチ、プレッシャー下でのボールコントロール、スピード、キックの精度、視野・・・どれもこれもが「これぞ横綱」という見事なゲームでした。今日西が丘にいることができた私は幸せです。女房と子供たちに感謝します。
kumazemi's favorite players 2007:成立学園の1番(GK)
ありがとう様<お褒めの言葉いただいて恐縮です。こちらこそこれからも応援よろしくお願いします。
fan様<成立学園は本当によくがんばりました。感動しました。
momo様<小檜選手が一番悔しいでしょうね。でも早く治して次のカテゴリでがんばってほしいです。
魂のぶつかり様<作品づくりは行けるところまで行ってみようと思っています。これからも応援よろしくお願いします。
青春様<おっしゃるとおり魂の勝負でした。私も高校サッカーの真髄を見たような気がします。
big様<これからも「熱く」取材します!
コートンハンクス様<いつもコメントいただき、感謝しております。東京朝鮮破った三鷹がついに決勝まできましたね。
bartret555様<トラックバックありがとうございました。マイケル選手はきっと乗り越えてすばらしいプロ選手になってくれると思います。
ようかん。様<褒めていただいてうれしいです。リンクも貼っていただき恐縮です。甥っ子さんが成立学園にいたのですね。おっしゃるとおり本当にみんな持てる力を存分に出したいいゲームでした。
投稿: 読者の皆様11/13<kumazemi | 2007年11月14日 (水) 00:03
素晴らしいブログありがとうございます。
甥っ子が成立の選手だったので、応援
してました。
結果は残念でしたが、みんなよく頑張っ
てましたよね^^
帝京のみんなも、素晴らしい選手でした。
とてもイイ試合が観れて、野球ファンのわ
たしも感動しました。
高校サッカー最高ですね^^
この試合内容を他の人にも伝えたくて、
我が家のブログに貼り付けさせてもらい
ました。
まことに勝手ながら、申し訳ありません。
投稿: ようかん。 | 2007年11月13日 (火) 21:43
レポートを読んで、昨年の準決勝が甦りました。
木枯らしが吹き始めた一年前の駒沢。
一人少ないハンデを負った横綱は、久留米を相手に終始、攻めのサッカーを展開しながらも勝ちきれなかった試合を。
あれから、1年。今度は成立にその不運が襲いかかるとは。
サッカーの女神は、少しだけ帝京に微笑んだようですが、次はきっと成立にやさしく接してくれるはずです。
ちなみに、私は不在である西の横綱候補を見極めようと駒沢にいました。今思えば、残りの微笑は早実に向けられたように思えてなりません。
投稿: コートンハンクス | 2007年11月12日 (月) 23:33
PKの結果は4-3でした。
今日一日中、昨日の試合のことばかり頭を廻り色々思うこともありましたが、ここの皆さんの感想などを見ていたら少しほっとしました。
大人になってもそうですが、どんな逆境に立たされても志をしっかり持ちやりきること。そんなことを昨日試合で高校生たちから学んだ気がします。
投稿: ありがとう | 2007年11月12日 (月) 22:51
帝京の選手おめでとう。
成立学園の選手良く頑張った。
小檜やマイケル抜きで必死に戦った選手達に心から拍手を送ります。
そして熱い観戦記本当にありがとう御座いました。
投稿: big | 2007年11月12日 (月) 21:45
こんにちは。
アルビレックスサポーターです。
こちらのブログ記事を引用させてもらいました。
マイケル君には残酷な試合になりました。
ショックが少しでも癒えるよう、願っています。
投稿: bartret555 | 2007年11月12日 (月) 21:26
くぜまみ様
そういった書き込みは控えた方がよろしいのではないでしょうか?
投稿: 応援ファン | 2007年11月12日 (月) 20:53
マイケルは、シンガポールリーグの新潟株のクラブに行くことになりそうですね。
投稿: くぜまみ | 2007年11月12日 (月) 20:15
言葉にならない試合ってあるものですね。昨日のような試合こそ高校サッカーの真髄。両チーム技術は最高レベルの選手が揃っていながら、最後はまさしく技術云々ではなく精神力=魂の勝負でした。言葉にするとどんどん安っぽくなるのでこの辺で・・・曇天の西が丘満員の観客の前に昨日の試合はどう映ったのだろう・・・・・
投稿: 青春 | 2007年11月12日 (月) 19:24
昨日会場で見ていたものです。成立学園は主力が次々にいなくなる状況で10人というハンデを負いながら最後まで、死力を振り絞りよく戦いました。決して一人足りないと思わせない戦いぶりはまさしく本物の横綱でした。
成立学園は記録としては敗れましたが、記憶としては永遠に残るチームです。彼らのチーム全員の勝ちたいという魂の入った戦いぶりは昨日会場にいた全ての人の心に響いたと思います。
素晴らしい作品として載せて頂きありがとうございます。これからも高校サッカーを通じて沢山の素晴らしい作品を残し続けて下さい。
投稿: 魂のぶつかり | 2007年11月12日 (月) 14:48
小檜さんは練習中に剥離骨折したらしいです。
試合会場で耳にしました。
彼がいたら、マイケルがいたら
なんてだめですね。
成立の分も帝京に頑張ってもらいたいです。
投稿: momo | 2007年11月12日 (月) 10:14
素晴らしい文章と写真をありがとうございます。それにしても、高校サッカーの神様は、今年の成立学園のチームのフィナーレに壮絶な演出をしたものです。
この日、西が丘にいた両校の父兄、生徒、超満員の観客、そしてなによりも両校の選手たちに、お疲れ様。
投稿: fan | 2007年11月12日 (月) 08:42
この試合はレベルが高くて面白かったです。成立は10人なのによく延長まで頑張ったと思います。もし退場してなかったら結果は違っていたかも・・・
投稿: ぁ | 2007年11月12日 (月) 07:59
小檜選手はケガと聞いたのですが・・・本当ですか?
投稿: MG | 2007年11月12日 (月) 07:38
成立応援してた者です。昨日は本当に色々ありました。。が、よく最後まで戦い抜きました。
良い文章として残していただき有難うございました。
投稿: ありがとう | 2007年11月12日 (月) 07:15
何で小檜選手がいなかったのですか?
投稿: | 2007年11月12日 (月) 01:43