お母さんのためのフットショー講座2
間合い ~自分と相手の距離、空間のこと~
ボールを保持する方もしていない方も、この空間をいかに使うかで次のプレーの有効度が変わってきます。一流の選手には「自分の間合い」があり、彼らはこの「自分の間合い」でいろいろな駆け引きや心理作戦を使ってプレーします。写真は選手権埼玉県大会二次リーグの西武台高校vs浦和西高校のゲームで、後半も半ば過ぎでの場面です。
(写真のNOは左から数えての番号です)
写真1:守備陣からボールを受けた浦和西10番の選手がドリブルで上がっていきます。西武台25番の選手は中に切り込まれますと一気にバイタルエリアまで突破される危険があるので、間合いを計りながら画面右側のサイドに押し込もうとしながらも、ボールを奪いにいける距離を保っています。一方、浦和西10番の選手はこの場面では左サイド(画面右方向)にパスを出してもタッチライン際に追い込まれ、屈強な西武台DFにボールを奪われる可能性が大なので、ピッチ中央に行こうと考えています(体の向きを中側にとっていますね)。この判断のもと、浦和西10番の選手はこの25番が当たりに来たところをかわそうと間合いを計っています。
写真2:「今だ!ボールを奪える」と判断した西武台25番の選手が当たりにいきました。この当たり方も決して足先だけで突っつこうとするものではなく、きちんと体を寄せながらいっています(このあたりの一見些細で細かいことも強豪校は極めて高い確率の再現性をもってできるんです)。しかし、浦和西10番の選手は待ってましたとばかりに右足のアウトサイド(足の甲の外側)を使って行きたかった方向に切り返します。土ぼこりからもこの浦和西10番の選手も軸足(左足)を踏ん張り、急な角度の変更にも耐えうる体制をきちんととっているのがわかります。
写真3:そして浦和西10番の選手がこの間合いにおける駆け引きに勝ち、見事にかわして行きたい方向に行きました。ただ、見逃してはならないのは浦和西10番の選手のサポートに入ろうと13番の選手が上がってくるところを、西武台の13番の選手も並走して戻ってきており、浦和西に数的優位を与えないようにしているところです(この場面でもし西武台13番の選手がサボって戻らないと西武台25番の選手は相手と1対2という形に陥り、ボールを奪える確率は極めて低くなります)。つまり西武台13番の選手は浦和西の10番の選手に25番の選手との1対1を選択せざるを得ないようにしたのです(これもプレッシャーです)。この場面は後半の後半でしたから疲労もあったと思いますが、強豪校はこういうところもサボらないできっちり繰り返し繰り返しやってくるんです(やられた方はたまったもんではありませんが)。
写真4:体ごと当たりに行っていた西武台の25番の選手は完全にかわされてしまいました。浦和西の10番の選手はかわした後もすぐに顔を上げて中央にスペースができていることを確認(Catch)し、ドリブルを選択(Decision)して、突破を仕掛けていきました(Action)。この間合いの勝負は結果的に浦和西の10番の選手が勝ち、確かこのあとそのままバイタルエリアまで進入し、シュートまでいったと記憶しています。
このようにサッカーでは間合いを駆使して対峙する局面がけっこうあり、この間合いの勝敗が攻撃側が決定的場面を作ったり、守備側が決定的場面を防いだりといったシーンの一つの根拠になっているケースが多いです。
ゲームを見るとき、すごいスピードで突破したり、激しいタックルで突破を防いだり、はたまたダイビングヘッドやものすごいミドルシュートが決まったりといった場面だけでなく、そこに至るまでの過程でこの間合いの場面に注意して観てみるのもまた違った角度からサッカーを楽しめると思います。
写真を掲載させていただきました浦和西高校も埼玉県大会で何回も決勝に進んだこともある名門ですが、このゲームは下記のような結果になってしまいました。逆にこれくらい今年の西武台高校は強いということです。それにしても埼玉大会のパンフレットは出来栄えが美しく、後々も思い出に残るような作りであるにもかかわらず東京のそれより200円も安いです。さすがサッカーどころは違う!
始めましてこんにちは。
そしてメールをありがとうございました!
いくつかの記事を読ませていただきました。
「お母さんのためのフットショー講座」ですが本当に勉強になりました。
リンクの方は大歓迎です!
どうもありがとうございます。
一層のこと良いブログにする事に勤めます。
それと、こちらからもリンクをはっても良いしょうか?
投稿: maru | 2006年10月19日 (木) 09:51
maruさま
返信ありがとうございます。
これからもどうぞ遠慮なくのぞきに来てください。そしてリンクもぜひお願いします!
投稿: kumazemi | 2006年10月19日 (木) 10:05