帝京vs国士舘
Kumazemi Report | 2013-04-20 |
平成25年度関東大会東京予選準々決勝 |
駒沢第二競技場(雨) |
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真冬並みの寒さの中、関東大会東京都予選の準々決勝は説明不要の強豪対決となりました。
何をいまさらですが両校とも基本技術がしっかり身に付いているゆえ、スリッピーなピッチ状態でもスピーディにボールを動かしながらしっかりとパスを繋いで攻撃を組み立てます。ただ、このパスワークの点で前半は帝京に分があり、全体的に帝京優勢で進行します。
対する国士舘は帝京のパスワークを警戒しながらロングパスを活用して攻撃、あまりリスクを冒さずまずは前半無失点で折り返し、後半に勝負をかける作戦だったかもしれません。
前半35分には自陣でのボールの奪い合いで国士舘4番の選手が負傷してしまい、15番の選手に交代するアクシデントが発生します。そしてこの直後の前半36分、帝京は右からの絶妙なクロスにややフリー気味にヘッドで飛び込み、「決まったか!」と思いましたが、国士舘DFが少し反応が遅れたものの最後は寄せていたため、ボールはクロスバーをかすめていきました。前半はこのまま0対0で終了します。
後半はアタマから帝京が4番の選手に代えて17番の選手を投入、後半勝負の匂いがプンプンしてきます。対する国士舘は前半とは見違えるほどアグレッシヴに変貌、一気にペースを握り、特に帝京の左サイドの裏を狙うなどサイド攻撃を仕掛け始めます。すると後半6分に左からのクロスに、ゴール前で虎視眈々と狙っていた5番の選手にボールが渡ってシュート、いいコースに飛びますが無情にもポストを直撃します。
後半17分には国士舘6番の選手が左サイド裏のスペースにピッチ状態を計算した完璧な強度のパスを供給、これに事前にアイコンタクトしていた8番の選手が反応、中央へ正確なクロスを入れます。するとここにまたもや5番の選手が待ち構えていてシュート、これもいいコースに行きますがわずかにゴール左に外れてしまいました。このように前半と見違える動きを見せる国士舘が20分過ぎまで帝京を押しまくります。
流れが良くなるとルーズボールも自軍に有利に動くので国士舘はセカンドも拾えていいリズムが続きます。対して帝京は我慢の時間が続きますが最終ラインの守備は一貫して安定、ゲームはこのままスコアレスで終了して延長戦に突入します。特に帝京キャプテン8番の選手の決して自陣でこねくり回さない守備におけるシンプルなプレーはすばらしかったです。
延長前半、国士舘はアタマから6番の選手に代えて18番の選手を投入します。そして、延長戦が始まってわずか3分後でした。敵陣浅めの位置でボールの供給先を探していた帝京9番の選手がいきなり右足を一閃、ボールはまさか打つとは思っていなかったであろう国士舘GKの右手をかすめてゴール左に突き刺さり帝京が先制します。距離にして35メートルから40メートルくらいあったのではないでしょうか。これには会場どよめきました。
終始パスワークで確実なゴールを奪いに行くスタイルを貫いていた帝京が、攻撃においてこのゲーム唯一結果度外視しての思い切ったプレーでした。これが決まってしまうのですからサッカーは本当にわかりません。
この後国士舘は猛然と反撃、延長後半はいっそう激しく攻撃を仕掛けますが、帝京の集中を切らさない守備を崩すことはできず、このまま帝京が1対0で国士舘を破りました。
ずっと人気が落ちない高校サッカーの面白さの一つに「結果を度外視した思いつきのスーパープレー」というのがあります。オールドファンには懐かしい小松晃さんの50メートルシュートとかまさにそうです。ユース年代のサッカーもプロレベルを意識した高度なサッカーになってますが、たまに「あーあ、やっちゃった」的プレーとか「あとはボールに聞いてくれ」的プレーを見せてくれるとても上手い選手に、私個人はワクワクしてるみたいです。
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