Kumazemi Report |
2008-09-14 |
第87回全国選手権東京Bブロック1回戦 |
駒沢補助競技場(曇) |
雨が降るとの予報を良い意味で裏切るように陽が差してきた駒沢補助競技場。ここでの第2試合は、PK戦、延長戦に競り勝って2地区から勝ち上がってきた都足立と、4地区で昨年のファイナリスト都つばさ総合との激闘を延長戦の末に制した高輪が顔を合わせました。試合はここまでの両校の軌跡を思い返させるような、息をのむ激しい展開となります。
激しいゴールの奪い合いの幕を開けたのは、都足立でした。前半7分、ゴール前からこぼれた浮き球を、5番が30mの距離から巧くドライブをかけてシュートします。ボールはGKの指先をすり抜けてクロスバーのすぐ下に入りました。先制した都足立は勢いに乗り攻め続け、10分には11番の選手がゴール前までドリブル突破しシュートを撃ちますが、高輪DFがゴールライン際で何とか防ぎました。
ここまで押され気味の高輪は、13分頃から前へ向かう気持ちが形となり、相手陣内でボールを持つ時間が増えてきます。小柄な選手の多い高輪は、体格の良い都足立守備陣に苦戦しますが、サイド攻撃、特に右サイドからチャンスを窺い、また、果敢にミドルシュートを狙っていました。徐々に良い形になってきた高輪でしたが、都足立が再び主導権を握り厚い攻撃を繰り出します。都足立は10番の選手と11番の選手がパス回しの中心となり、中でためてサイドにさばく形が多く見られました。
前半25分には右サイドからのアーリークロスに、12番の選手が飛び込んで触りましたがこれはゴール上に。28分には8番の選手が出したスルーパスから、12番の選手がGKと1対1の局面を迎えましたが、シュートはゴールポストわずか右にそれました。
ここからは両チーム一進一退の攻防を演じます。33分に高輪8番の選手だったでしょうか、左サイドからシュートするとGKが弾くと、そこに詰めますがDFがクリアします。そのままボールは都足立の前線に渡りカウンターとなりました。このように速い展開のサッカーが繰り広げられましたが、スコアは変わることなく1-0のまま前半は終わります。
後半最初の決定機は都足立のものでした。後半2分に右からのコーナーキックを、ファーサイドの11番の選手がヘディングで叩きつけます。跳ねたボールはゴール上部へ向かいましたが、ここは高輪GKがファインセーブを見せ凌ぎました。この直後から「ピンチの後にチャンスあり」という言葉通りに高輪の時間帯が訪れます。
後半5分、右サイドでの組み立てから同点ゴールを奪うと、続く7分にはスルーパスに反応した選手がGKと1対1となったところを、右寄りでフリーの9番の選手に落ち着いてパスを出します。9番の選手は無人のゴールにボールを送り込み、わずか2分間で高輪が逆転に成功しました。これで試合の流れは一気に高輪に傾き、16分にはゴールライン際の角度の無いところからのシュートがGKを脅かすシーンもあり、このまま高輪が勝負を決めるかと思われました。
しかし後半20分を過ぎたあたりから都足立が底力を見せ始めます。前がかりとなりディフェンスと中盤との間が空き気味となりましたが、そのリスクを負って攻撃を仕掛けました。そして24分、右コーナーキックからのボールを、GKと交錯しながらヘディングしゴールに突き刺しまして2-2の同点に追いつきました。さらにその4分後には、ロングボールに反応した11番が、GKよりわずかに先にボールに触りゴールに流し込んで3-2と逆転します。都足立は31分にはクロスバーを叩くシュートを撃つなど、一気にペースを握りました。
再度の逆転を狙う高輪は、選手を2人入れ替えてチームの活性化を図ります。しかし、ここまで縦横無尽に走っていた疲れのためか、気持ちにプレーが追いつかずもどかしい印象を受けました。さらに都足立が引いてしっかり守りを固めていたためチャンスを作ることができず、試合はこのまま3-2で都足立の勝利に終わりました。
都足立はこれで地区予選から立て続けに接戦を制したことになります。ギリギリの局面を打破してきたねばり強さは、トーナメント戦では大きなものではないでしょうか。都駒場との次戦でも底力を見せてくれるのか楽しみですね。敗れてしまった高輪もねばり強さでは決して劣っていませんでした。1年生も多い若いチームのようですので、来年の飛躍を期待していたいと思います。
最後に、素晴らしい試合を見せてくれた両チームに感謝して終わらせて頂きたいと思います。
by コータロー
高輪は若いチームだと伺った覚えがあります。この都大会での激闘は今の2年生、1年生にはとても大きな経験になったと思います。対する都足立は先制しながら追いつかれ、逆転されながら最後に再び逆転しての勝利、見事な精神力です。こういう試合をモノにするとノッてきますので、都足立、要注目です。

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