流経大柏vs藤枝東
Kumazemi Report | 2008-01-14 |
第86回全国高校サッカー選手権決勝 |
国立競技場(晴) |
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第86回選手権も昨日14日に決勝が行なわれ、見事、流経大柏が優勝いたしました。大前選手を中心とした得点力もさることながら、守備力が凄まじく、正直今の日本のユース年代でこのチームから得点を奪うのは極めて困難であろうと思いました。組立、攻撃、守備どれをとっても本当にすばらしく、史上最強の高校サッカー部です。
藤枝東は名門復活とサッカー王国復刻を一身に背負ったプレッシャーなのか、卓越した個人技とピッチを広く使った戦術で都三鷹に完勝したあの姿が見えません。対する流経大柏は藤枝東がどう出てこようと関係ないといった感じで、最初から伸び伸びプレーし、ガンガンいきます。
そして今日の試合はうんだらかんだらと同伴のメンバーと話していた開始6分、流経大柏があっという間に先制します。右サイドを駆け上がったキャプテンから低めのクロスを受けたエース10番大前選手が、藤枝東DFを2人引きつけながらキープ、巧みな技術でかわそうとしていたところをシュートを打たれたらたまらんということでもう1人のDFが寄って3人がかりで潰そうとします。しかし、小柄ながらがっちりとしていていかにも屈強そうな大前選手はバランスを崩すこともなくフリーの8番村瀬選手へボールを通し、受けた村瀬選手が難なくゴール左に蹴り込んだのです。
あまりに早い先制弾被弾で、藤枝東は浮き足立った、というかパニックに陥ったかもしれません。藤枝東は守備陣がボールを奪って中盤へ繋いでもあっと間に寄せられパスコースを消され、攻守の切り替えが速くてかつマークを外さない流経大柏に対し、何をどうすればいいのかわからなくなっている感じを受けました。流経大柏は活動範囲が広くて得点力のある大前選手を、いつどこにいるのか一瞬わからなくする周りの選手のアクションと上條選手のどんな体制でも執拗に前を向こうとするプレーがすばらしかったです。正直、守る方としては上條選手の方が怖かったのではないでしょうか。大前選手自身が「僕の得点はみんなのおかげです」と言っていましたがうなずけました。この言葉は心の底からでてきた衷心からの本音の告白に違いありません。
上の写真は前半の藤枝東の攻撃シーンで、左サイドとバイタルエリア付近を撮ったものです。効果的な攻撃になるであろうコースとスペースは消されており、勝率五分五分かか四分六分以上で不利なところで勝負するしかありません。
それでいて流経大柏はみんな1対1がめっぽう強く、テクニックある藤枝東もどうにもなりません。あの松田選手もサイドに流れて深い位置への切り込みを図りますが、これも徹底的に阻止します。
左の写真は藤枝東の松田選手と流経大柏3番天野選手の後半右サイドでの1対1ですが、ここでも天野選手は半身に構えて松田選手を中側に誘い、見事に突破を止めてボールを奪いました。
このように1対1で負けず、速いプレスで中盤を制圧して河合選手にも仕事させず、シュートも撃たせず、攻撃では少ないタッチと突破を織り交ぜ藤枝東守備陣を翻弄、必ずフリーの選手を作り出してはそこへラストパス、そして撃つ方は正確にボールを捕らえてGKの届かないところへ蹴りこむ・・・凄まじいの一言です。
今大会は島原商などの古豪の出場、都三鷹の快進撃、名門藤枝東の決勝進出と話題の多い大会でした。
昨年に続いて長い間教育に携わり、こつこつ努力され、人生賭けて高校サッカーに取り組んできた指導者が栄冠を勝ち取りました。努力を重ね、耐えに耐えて信じてやり続けてきた方が最後に報われるというのは、今の社会に最も大切な価値観ではなかろうかと私は思います。全国高校サッカー選手権においては、今年もこれが見事に具現されました。
これで私の2007年度のゲームリポートは終了です。
サッカーを見る目は素人並みですが、熱い気持ちを受け止めるのはプロです!笑
この大会でいっぱい、いっぱい、いいものをもらいました。
昔、親父が笛を吹いた国立のピッチで、いま自分が同じ大会を追っかけてると思うだけでジンときました。
サッカー+青春=感動。ですね!
これからも地元レベルでサッカーに打ち込む子供たちを支えていきます!
投稿: ケーブルテレビの保坂です。 | 2008年1月18日 (金) 00:30