かえつ有明vs都石神井
Kumazemi Report | 2006-09-17 |
第85回選手権東京大会Bブロック1回戦 |
都葛飾野高グラウンド(曇) |
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いよいよ選手権東京都大会が始まりました。このブログで情報いただいたこともあり、かえつ有明高校対都石神井の一戦を観にいきました。写真は試合開始直前のかえつ有明高校の様子ですが、反対側で試合前の練習をする石神井とは対照的に、かえつ有明はフィールドで調整することは一切なく、監督からの指示の徹底のみがなされてました。ご存知の方も多いと思いますが、このかえつ有明の中込監督は元アビスパ福岡に所属していた元Jリーガーです。世代的には井原正巳さんと同じで、Jリーグ発足前もPJMフューチャーズとかで活躍された方です。そしてこのかえつ有明高校はもともと嘉悦女子高等学校という女子高だったんですが、本年度から男女共学になった学校なので、この選手権予選の登録メンバーは全員1年生なのです。したがいまして元Jリーガー監督がオール1年生で都大会に乗り込んできた、というわけであります。
このように話題が豊富なかえつ有明ですが、都大会1回戦では地区予選で東亜学園を破って勝ち進んできた都石神井高校と当たることになりました。
ゲームは開始10分くらいまでは一進一退でしたが、徐々に石神井が押し込んでいきます。22分の石神井10番の選手のドリブルシュートは惜しかったですが、かえつ有明も体を張ってよく守ったと思います。このように左右をワイドに使って組織的に攻めて組織的に守る石神井に対し、かえつ有明はどちらかというとこの技術を活かしながら、ボールを奪ったら速攻気味に早めに前線の10番と11番の選手に供給する、という感じでした。
ただ、びっくりしたのはかえつ有明の選手の個々の能力です。さすがに顔つきは半年前までは中学生ですからあどけないのですが、全員が1対1にめっぽう強く、基本技術もフィジカルもとても1年生とは思えないレベルなのです。特にDFの4番の選手なんか年ごまかしてんじゃないかと思うほど高校年代では完成の域にあるくらいの選手でした。また、GKもすごいです。特に飛び出しの判断とパンチングの技術は一級品ですね。石神井の攻撃は最後の最後にことごとくこの4番の選手とGKに跳ね返されていました。
ゲームは前半終了間際にかえつ有明に10番の選手の抜け出しからのシュートと右CKからの惜しいヘディングシュートがあったものの、終始石神井優勢のまま前半は0-0で終了しました。
後半に入って47分、石神井が右サイドを崩してゴール前絶好のポジションの選手にボールを供給、決定的場面を作ります。しかし、ここもかえつ有明のGKのファインプレーで得点できません。
この数分後、今度はかえつ有明が左CKからチャンスを作り、一度はクリアされますがそれを左サイドの選手が拾い、低くて速いシュート気味のボールを入れ、これにダイレクトで合わせてかえつ有明が先制します。(写真)
これで2点入れないといけなくなった石神井が激しい攻撃を仕掛けます。54分にはものすごいボレーシュート(クロスバー直撃)、55分にGKと1対1(かえつGKがファインセーブ)、56分には左CKから飛び出してしまったGKの頭上を狙ったヘディングシュート(惜しくもゴール上のネットに落ちる)など怒涛の攻撃を仕掛けました。
しかし、ここでもかえつ有明は4番の選手とGKを中心によく集中して守り、1人1人がしっかりとしかも速く体を寄せてこの怒涛の3連発を防ぎました。
65分には逆にかえつ有明がカウンターから11番の選手がスピードと持ち前のボディバランスの良さを駆使して中央突破を図りますが、石神井が3人がかりで止めます。(写真)
70分には石神井が中央ややセンターサークルよりの位置からのFKとその後の前線の選手の粘りから決定的なチャンスが生まれますが、惜しくもシュートミスで得点できませんでした。石神井にとってはこれは痛いミスでした。時間帯からいってミスってはいけない決定的場面だったのですが・・・。
一方、かえつ有明は先制してからさらに出足がよくなり、後半の中ごろを経過しても寄せが遅れることもなく、攻撃に切り替わったときのスピードも全く落ちません。コンタクトスキルも持久力も相当のものがあります。
結果的にゲームはこのまま1-0で終了、1年生軍団かえつ有明が勝利しました。ラスト5分、かえつ有明ベンチは「全員で(最後まで)やり切れ」と声をかけますが、監督は終了直前という時間帯でも11番の選手に、ヨコへの動き方やDFをよく観ることなど技術的戦術的指示をされていました。
石神井はグラウンドをワイドに使って左右に揺さぶり、サイド攻撃を中心に激しく攻撃しましたが、やはり後半15分過ぎの立て続けのチャンスと後半20分の決定的チャンスで得点できなかったことが最後まで響いてしまった気がします。内容的には決して悪い内容ではなかっただけに残念でした。相手の強さとかレベルといった感覚はやっている選手だけが正確に知り得るものですが、石神井の方に足をつる選手が複数出ていましたので、たぶん我々観戦者が思っている以上にかえつ有明の攻守の切り替えが速く、プレッシャーがきつかったのではないでしょうか。逆から言えば伝統のある強豪校石神井相手に1年生だけでこれだけのプレーができるかえつ有明の選手の能力は技術だけでなく精神面でも相当なレベルであるということです。
若いチームは乗ると力以上のものを出すといいますし、かえつ有明はBブロックで何か旋風を巻き起こしそうな雰囲気になってきました。右下の写真はかえつ有明FWコンビです(出身中学も同じみたいです)。
kumazemi's favorite players:かえつ有明の4番、11番
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