桐光学園vs作陽
Kumazemi Report | 2013-01-05 |
第91回全国高校サッカー選手権準々決勝 |
三ツ沢球技場(晴) |
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いよいよ選手権も準々決勝、大勢の観客が 三ツ沢球技場に集まりました。 グラウンドとスタンドの距離が近く、 さらに高さもあり本当に観やすい球技場ですね。
さて、今回のマッチレポートは プリンスリーグ関東1部でJユースを抑え、首位を走る神奈川代表の桐光学園と 高校年代最高峰のプレミアリーグに参戦している岡山県代表の作陽高校となります。
先述のとおり、注目の一戦に大勢の高校サッカーファンが集まりました。 試合序盤、桐光の圧倒的な攻撃力が作陽DF陣を翻弄します。 特に10番の選手から出されるパスは精度が非常に高く、さらにこの選手は ボディコントロールが良くドリブルでの仕掛けも目を見張るものがありました。 この10番からの供給に反応する両サイドやFW陣のスピードやタイミング、常に 裏への抜け出しを意識した姿勢がすばらしかったと思います。
前半10分を過ぎるあたりから私自身、「とりこ」に なっていたのはいうまでもありません。 また、DF陣もどこでボールを奪うのか、同じ認識のもとでプレーしており、 その奪ったあとからの攻撃への切り替えも早く、今大会観てきた中でも頭ひとつ抜けたチームのよう感じました。 一方、幾度となく繰り返される桐光の攻撃に対してぎりぎりのところで防いでいたのが 作陽DF陣。特にCBの4番、5番は高さもさることながら対人の強さ、読みの鋭さが 素晴らしくとても落ち着いたプレーを見せます。
前半0-0を想定内のゲームプラン通りとして進めていた作陽だったかもしれませんが 34分に均衡が破れます。桐光10番のCKを4番が折り返し、混戦から2番が押し込み1-0とし 前半終了。
しかし、このまま引き下がるわけのはずがない作陽は後半から 一気に畳み掛けます。 前半は桐光10番からの展開力、FW陣の裏への抜け出しが気になり なかなかラインを高めにとることのできなかったと思いますが 後半からコンパクトなライン取りを行い、高い位置でボールを奪い攻撃に転じます。 特に10番から9番の選手が入った16分過ぎからその勢いは増します。 前半思うように前線で収まらなかったボールがこの9番をターゲットに シンプルにあててそこからの展開が桐光DF陣を苦しめます。9番は大柄な選手ですが、高さ・キープ力・突破力ともに優れ 攻撃にリズムが生まれます。
また、作陽7番は私が見てきた中でもトップクラスのスピードを持ち合わせており 彼にボールが渡ると会場内の空気が一瞬止まったかのような雰囲気になります。 そんな中、後半35分に作陽9番→7番でサイドを崩しセンタリングから 14番(後半21分途中交代の選手)が中で粘ってキープし、ゴール右隅に同点ゴールを 決めます。
後半のギリギリまで何とか粘っていた桐光DF陣もこの失点はショックが 大きかったように思います。 更に畳み掛ける作陽、もしかしたら逆転も・・・と会場の雰囲気が変わり始めた 後半ロスタイムにドラマ、いやこんな安っぽい言葉では言い表せない ある意味サッカーの面白さ、怖さを感じる瞬間が訪れます。
ロスタイム41分にPK戦を想定して作陽はGK1番から大型の21番に交代します。 桐光のスローインからゲームは始まり、中で競り合いこぼれた球、次の瞬間素早く反応した 桐光の9番の選手が右足を振りぬくと、グラウンダーのボールはだれにも触れることなく ゴールに突き刺さってしまいます。 何という幕切れでしょうか。
最後の場面、決して油断や集中の途切れがあったとは思えません。 ただ、これがサッカーなのだと改めて感じることが出来ました。 両チームともに死力を尽くし、観るものを魅了し、熱くさせた選手たちに 本当に温かい拍手が送られたことは言うまでもありません。 残念ながら敗れてしまった作陽ですが、3年生が最後までチームを引っ張り 本当に良いチームでした。2年生メンバーも多いようですので、是非戻ってきて もらいたいと思います。
いよいよ今大会も残すところ国立での3試合となりました。 準決勝も決勝も好ゲームが期待できそうですね。
取材:おび天
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