都三鷹vs高知中央 Vol.2
Kumazemi Report | 2007-12-29 |
第86回全国高校サッカー選手権開幕戦 |
国立競技場(晴後雨) |
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コーヒー飲んで席に着いたら、すぐ後半がはじまりました。それにしても多くのお客さんが来てました。ちびっ子もたくさん来てましたし、少年サッカーの指導者のような方たちもいて、午前中に大掃除をササっと済ませて見に来て正解だったなと思いました。ものすごい元気をもらえました。
さて、試合ですが、前半と逆でファーストシュートは三鷹が撃ちました。少し動きがよくなってくるのかなと思っていた矢先の後半3分、攻め込まれた三鷹がゴール付近での浮き球を、そんな体の大きくない林選手が全身を伸びきらせながらヘッドでクリア、しかしそのクリアボールが無情にもいいところにいた高知中央9番の選手の目の前に、それを慌てず右足ボレー、ボールは右ポスト内側に当たってネットを揺らし高知中央が先制します。
後半開始直後、しかも完璧に崩されたわけでなく、セットプレーからの失点・・・流れが高知中央に行ってしまうのかなと思いました。しかし、逆にこの1点で吹っ切れたのか、この後は三鷹の動きががぜんよくなり、高知中央の動きが悪くなっていきます。思えば東京朝鮮、関東第一、都駒場、早実と1試合とて気の抜けない激戦をしぶとく勝ち抜いてきた三鷹の本領発揮のお膳立てができたのでした。
ここからの三鷹は前半より運動量が増え、ボールもよく動き、詰めも速くなっていきます。運動量が増えた分パスコースの選択肢も増え、がっちりマークされていたながらクサビを待ち続けた白井選手もボールを受けやすくなります。そして、前半より深いところまで仕掛ける攻撃が目立ち始め、やや安定さに欠ける高知中央DFに果敢に仕掛けていきます。受身に回った高知中央はいい形で入ると三鷹にとってデンジャラスになるの10番の選手にまったくボールが入らなくなりました。
こうなるといつものシンプルパスサッカー全開です。雨も上がって運も味方につけました。そんな中の11分、ここで高知中央が6番の選手に替えて22番の選手を入れます。6番の選手はスピードがあり、林選手と激しくやり合い林選手得意のオーバーラップを躊躇させているのではないかと私には映っていたので、ちょっとびっくりしてしまいました。ケガでもしていたのでしょうか。このあたりでは北見選手が見事な反転からからタテを狙った11番吉野選手にパス、シュートにつながるプレーも出て、だんだんリズムがよくなっていきます。
後半16分でした。高知中央の選手が自陣左サイドの何でもないプレーからGKにバックパス、しかしこれが距離の割りに弱すぎ、すぐに反応した三鷹のエース白井選手がボールを奪取してシュート、GKに一度は止められますが跳ね返りを落ち着いて流し込み同点となります。
不安定さがこのような形で出てくるとは私も思わなかったのですが、高知中央にとっては痛い失点に結びついてしまいました。でも10番の選手は「まだ1-1の同点だ」と仲間を鼓舞してました。すばらしいキャプテンシーです。
息を吹き返した三鷹はさらにプレッシャーを強め、21分にCK、22分には中央25mの位置でFKゲット、23分にはこの日6本目となるCKを得るなど押せ押せになります。
そして後半28分、スローインから右サイドをタテに抜け出した14番玉江選手がゴールラインすれすれの深い位置からセンタリング、二アサイドに詰めた白井選手がこの浮き球を右足ツータッチで見事にボールコントロール、スリータッチ目のシュートがGKの股間を抜けついに逆転します。前半あれだけ素早く寄せていた高知中央ですが、ここでは一歩寄せきれず玉江選手のセンタリングと白井選手のシュートを許してしまいました。
三鷹の中盤の局面局面であっという間に数的優位を作り出して次々と繰り出すタテへの効果的なパスは本当にリズミカルでした。
この後に19番大木選手を投入(関東第一戦でも後半出てきて暴れまくってましたね)、31分にこの大木選手がタテへ突進してミドルシュート、しかしまったくミートせずボテボテのゴロに・・・これに左側にいた18番炭谷選手が素早く反応して拾ってシュート、一度はGKがはじきますが、そのはじいたボールがドフリーの3番山崎選手の目の前へ・・・これをダイビング気味にヘッド、見事な3点目が決まりました。
白井選手のバックパスをゲットするという、ただ目の前に転がりおちてきたようなチャンスにも慌てず落ち着いて決める能力、同じく白井選手の2点目、あの位置へ信じて走る真摯なプレー姿勢と見事なボールコントロール、3点目の炭谷選手の反応と、あそこに位置取り、目の前にきたこぼれ球を焦らず難なくヘッドで押し込んだ山崎選手。日ごろ相当練習していないとできないプレーです。特に攻撃の場合、ゴール前で自分が走りこんだところにドンピシャでボールが来るのは何十回に一回あるかないかですから、何時も信じて走り続けるというのは並大抵のことではないのです。そしてツイてない時はこの自分に入るボールやポストやバーの跳ね返りがセンチメートル単位でずれるんです。
三鷹の選手は後半普通にやってましたが、制約の多い練習環境の中で、素晴らしい指導者の下、選手一人ひとりが考え、工夫し、時間が足りない分を質で補ってここまで来たのでしょう。
歴史を作った皆さんに心からおめでとうと言いたいと思います。
感動させていただきました。
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