静岡学園vs作陽
Kumazemi Report | 2007-01-05 |
第85回全国高校サッカー選手権準々決勝 |
駒沢陸上競技場(晴) |
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準々決勝、駒沢陸上競技場第一試合です。
すごい試合でした。勝手にネーミングさせてください。このゲームは「7番対7番の対決」でした。作陽7番宮澤選手と静岡学園7番枝本選手です。二人とも小柄なミッドフィールダーですが、獅子奮迅の活躍でした。
前半はお互いいいところを消し合いながら0対0。特に静岡学園は作陽に中盤を支配されないよう、早いチェックでしかも激しくディフェンスしていました。静岡学園がここまで激しくマークするのですから相当作陽の中盤を警戒していたのでしょう。
後半は一転してゲームが激しく動きます。先制したのは作陽でした。ボールを受けた7番宮澤選手が粘ってタイミングを計り11番小室選手にすばらしいタテパスを通し(写真右上)、そのまま小室選手が静岡学園ゴールネット右隅に狙いすまして蹴りこみました。
今度はその5分後の17分、静岡学園が7番枝本選手がクロスに飛び出したGKを巧みな個人技で交わし、同点ゴールを決めます(写真)。
正直、これで「静岡学園が流れつかんだな」と思いました。パンフレットにも書いてありますが、このチームは相当走りこんでいて後半にめっぽう強いからです。
しかし、作陽はタフでした。同点にされた直後のキックオフからあっという間に静岡学園陣内に深く攻め入り、守備陣形が整わないうちに作陽11番小室選手が右足一閃、逆転ゴールを決めます。追いつかれてからわずか1分後の出来事でした。
喜ぶ作陽11番小室選手の背中が見えますが、静岡学園GKの船崎選手が「どうなってるんだ」というような仕草をしています。
静岡学園は何かが狂っていたのでしょうか。後半勝負はお家芸なのに常に先手をとられていきます。そしてこの5分後の後半22分、またも自陣深い位置で振り回されてしまい、作陽7番宮澤選手に決められ3対1となります。
作陽は後半、戦い方を変えてきたように思います。静岡学園の中盤のチェックが激しいので、あまり横や斜めの方向には手数をかけず、早めにタテパスを入れるように変えてきた感じを受けました。
一方、2点差をつけられた静岡学園は死に物狂いで攻撃を仕掛けます。しかし、焦っていたのでしょうか、ポイントとなるところでパスが浮いてしまったり、コントロールをミスしてタッチに出してしまったりと、らしからぬ状況が続きます。でもやはり王国静岡の代表です。後半34分、早いスローインでリスタートして右サイドから攻め込み、伊藤選手が執念で押し込んで3対2と1点差になります。残り時間はあと5分強というところでした。
ここからも静岡学園は猛攻を仕掛けますが、作陽も必死に守ります。ほとんど自陣に引いてボールがきたら大きく蹴出す状況が続きました。これもしょうがないです。勝てば岡山県勢初の国立、勝ちたい気持ちが「サッカーとは」を上回るのも仕方がないです。この大会のために3年間歯を食いしばって練習してきたのですから。
作陽が静岡学園の猛攻をしのいでいるうちに40分が経過し、ロスタイム表示ボードの「3」もあっという間に過ぎて作陽に軍配が上がりました。
作陽は強いです。岡山県は青山(敏)選手や苔口選手などのすばらしい人材を輩出し、いよいよ歴史に名を残す舞台に上がってきました。これも指導者の方々の熱意と努力の賜物だと思います。
準決勝は八千代対盛岡商業、作陽対神村学園となりました。九州勢がバタバタと早くに散っていきましたが、鹿児島県代表は残りました。全滅しないんですからやっぱり九州はさすがです。八千代はあの古河一が初優勝した昭和55年度第59回大会以来のベスト4ですね。私が高校に入った年です。盛岡はその昔飢饉に苦しんだ土地柄と聞きます。厳しい状況を努力と工夫で脱しきる魂が脈々と流れているのではないでしょうか。
もうここまできたら実力云々というより、コンディションを整えて試合で普段の力を100%出すこととほんのちょっとの運を味方につけることです。
4強の選手の皆さん、国立競技場ですばらしい感動のパフォーマンスをお願いします!
静岡学園が敗退したのは残念ですが、作陽というチームも昨年の野洲のようになってきました。サッカーのスタイルは違いますが、頂点に登りそうな勢いを感じます。東京に一回戦勝ちというジンクスもありますので、応援しています。
投稿: fuji-to | 2007年1月 6日 (土) 09:01