修徳vs国士舘
Kumazemi Report | 2006-11-12 |
第85回選手権東京大会Aブロック準決勝 |
西が丘サッカー場(晴) |
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東京Aブロック準決勝第2試合です。Ⅴ3を狙う名門修徳と01年度から03年度まで3連覇し、悲願の全国一勝を狙う国士舘の対戦となりました。両校とも言わずと知れた東京の高校サッカー界をリードする強豪中の強豪です。
朝からの強い北風も止む気配がなく、このゲームも風上をどう攻め、風下をいかに守るかがポイントになりました。そして前半は修徳が風上でした。
予想していたより比較的静かな立ち上がりでしたが、風上の修徳は9番小澤選手めがけて早めに前線に入れ、風下国士舘は"地面"を有効活用する展開です。
国士舘はポストプレーが上手でたびたびDFラインを突破しかけるのですが、修徳DF3番の石川選手の読みとカバーリングがすばらしくピンチを摘み取っていきます。
そして前半28分、ゲームが動きます。やはり「風」でした。修徳は中央ややセンターサークル寄りの位置で得たFKを、風を計算した抜群のコントロールでゴールポスト右側付近(たぶん考えられる選択肢の中で国士舘DFが最も守りにくい位置だったと思います)に放り込み、2番田中選手がワントラップしてDFをかわしてシュート、見事に先制します(写真)。
風下の国士舘は前半できればこれ以上失点しないで後半に臨みたかったと思いますが、前半終了間際に右サイドの崩しから、9番小澤選手に決められ2-0となります。この1点が、国士舘には後々効いてくることになります。
風下を意識しすぎたわけではないと思うのですが、ここまで都立駒場にも早実にも無失点で勝ち上がってきた国士館にしてはらしくない感じがしました。私も前半2-0で修徳リードで折り返すという展開は予想していませんでしたが、これで修徳は後半の風下を徹底して守備的に戦って逃げ切るプランが成立してしまいました(勝手な想像です)。
後半はこの勝手な想像のとおり、やや一方的に風上の国士舘が攻め立てます。6分には中央バイタルエリアやや外側のFKから決定的なチャンスがあり、8分には今度は先ほどよりゴールに近い位置でのFKと立て続けにセットプレーのチャンスがありました。しかし、修徳も必死に守ってピンチをしのぎます。
このような展開がしばらく続いた後半20分、左からじわじわ攻めあがってきた国士館が中央へ横パスをつなぎます。このパスにそれまで必死にくらいついて守っていた修徳DFがいとも簡単に前を向かせてしまいます。それも一発でシュートレンジに入れてしまうぐらい寄せがありませんでした。次の瞬間、強烈なミドルシュートを打たれ、コースは甘かったような気がしましたがいかんせんこの風で加速度が増し、修徳ゴールに吸い込まれていきました。これで1点差。残り時間あと20分。国士舘の実力を考えれば同点、逆転も十分可能な残り時間です。
しかし、ここから「粘りの修徳」が本領を発揮します。以前の日記でも書きましたが、修徳の精神力はすごいのであります。あきらめないし、下向かない。キレないし、サボらない。これが冬の修徳なのです。
国士舘は1点返してからはさらに押せ押せになったのですが、少し焦っていたのでしょうか。持ち味のつなぐサッカーより前へ前へのサッカーになってしまったような気がします。もし「風」が弱かったら、1点差になってもつなぐサッカーをしたのでしょうが、今日のような日はボールも加速度ついてころがっていきますので、仕方がなかったのかもしれません。でも、後半30分過ぎはもうこれを「猛攻」と言わずして何が「猛攻か」と言えるほど激しい攻撃を仕掛けました。
しかし、ゲームはこのまま修徳が逃げ切り、国士舘は結果的に前半終了間際に献上してしまった2点目で涙をのみました。
写真は国士舘ゴール前での空中戦、「粘った」修徳DF陣そして勇気ある飛び出しで決定的場面を防いだ国士舘GKの写真です。
これでAブロック決勝は暁星vs修徳と私世代には涙がでるようなカードになりました。ちょっと気がかりなのは故障でしょうか小澤選手が途中で退いてしまいました。今日はやや引き気味でしたが、決勝では小澤選手のDFの裏に飛び込むアグレッシヴなプレーがみたいですね。
なお、Bブロックでは東海大菅生が2-1で東京朝鮮を破り、来年から都立高校改革の一環で統合が決まっている都立久留米が延長戦の末2-1で王者帝京を破り、Bブロック決勝は東海大菅生対都立久留米のカードになりました。Aブロックは東の正大関同士、Bブロックは西の正大関同士の決勝です。
他県では神奈川代表は桐光学園、埼玉準決勝は武南1-0西武台、市立浦和3-2国際学院、千葉準決勝は渋谷幕張0-0PK4-2市立船橋、八千代2-1流経大柏となっています。千葉では県内二強がそろって準決勝で敗退しました(渋谷幕張恐るべし)。
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