選手権東京予選激闘の記憶1
地区予選から戦わなければならなかった修徳が王者帝京に挑んだ決勝戦です。
下馬評では帝京でした。しかしこの年の修徳は神がかり的で、一次トーナメントでは前年に苦杯をなめた成立とあたり、二次リーグではこの帝京と同じ組でした。成立には雪辱を果たし、二次リーグでは本郷に敗れたもののここでも帝京に神がかり的な勝ち方をして決勝まで進んできたのでした。
帝京は前年も選手権出場を逃していましたし、相手は二次リーグで一度敗れていて、しかも過去幾度も決勝であたりながら全て撃破してきた修徳ですから、絶対負けられないゲームだったと思います。
ゲームは帝京が押し気味に進める展開でしたが、前半修徳がミドルシュートで先制し、このまま前半が終わります。
後半、帝京の攻撃の起点になっていた中盤の選手を修徳DFがペナルティエリア内で倒してPKを与えてしまい、これが決まって1-1になります。精神的には修徳にきつい展開になりましたが、修徳は集中を切らさず粘り強くプレーし、1-1のままどんどん時間が過ぎていきました。
私は延長突入だと思いました。そうなると修徳には不利だなぁと感じていました。帝京は試合巧者だからです。
しかし、ドラマは後半ロスタイムに訪れます。時間にしてロスタイム表示2分の中、2分39秒経過していました。
自陣でボールを奪った修徳が中盤につなぎ、帝京はなぜかぽっかり空けてしまった中盤のスペースでドリブルを許してしまいます。一気にペナルティエリアまでボールを運んだ修徳はDFが一足飛びに戻って体制を作りかけた帝京に対して一旦右につないで後からの上がりを誘引、この選手がパスを受けてミドルシュートを放ちました。一度はGKがはじきますが、ここでも詰めていた修徳はいち早くこぼれ球を拾って中央へ流し、決勝点が生まれました。42:39でした。
ここでホイッスル。2-1で修徳が勝利し、4年ぶり6回目の全国大会出場を決めました。
高校生は短期間で伸びることもありますが、それを可能にするのは決してあきらめない精神力やボールに対する執着心であると感じたゲームでした。
サッカーは芸術ですが、心身両面にとって本当に過酷なスポーツです。
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