鵬翔vs星稜
Kumazemi Report | 2013-01-12 |
第91回全国高校サッカー選手権準決勝 |
国立競技場(晴) |
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いよいよ選手権は会場を国立へ移し、 天気も良く、風もほとんどなく 非常に素晴らしいコンディションの中で 準決勝が行われました。
今大会、優勝候補と目されていたチームが いずれも姿を消す中で勝ち残った両チーム。 選手権本大会に入ってもなお試合を重ねるごとに 成長を遂げている両チームの対戦は非常に注目が集まります。試合序盤、流れをつかんだのは星稜でした。長身FWの13番にシンプルにボールを集め、 9番の選手に落とし攻撃のリズムをつかみます。 両FWともに背丈があり、ポストプレーはさることながら 足元の技術もかなり高く、鵬翔はとても苦労します。
また、星稜5番の選手からのロングスローはCKと同じくらいの球筋で脅威となります。 そんな中、13分にゲームは動きます。 星稜は右サイドから10番、13番とつなぎ、 13番からシュート性のクロスが入ります。 中を固めていた鵬翔DFですが、クロスはファーサイドまで流れます。 ここに詰めていた19番が冷静に左足で蹴りこみ1-0とします。中の人数は揃っていましたが、クロスはコース/スピードともに質が高く、13番を褒めるほかありません。
しかし、鵬翔にもチャンスが巡ってきます。 前半1分と22分にゴール前フリーキックのチャンスをものに 出来ていなかった鵬翔ですが、29分にまたしても同じような位置で ファウルを受けます。 キッカーは2年生にして司令塔の8番。これまでの戦いにおいても幾度となくチャンスをつくってきた右足が振りぬかれ、ボールは 縦回転の軌道を描き、壁を越してフォークボールのように落ちていきそのままゴールに突き刺さって1-1の振り出しに戻します。
これで息を吹き返した30分過ぎからの鵬翔は、高い位置でのボール奪取から攻撃へつなげリズムが生まれます。また、DF陣もここまで苦戦していた星稜FW陣に対してもしっかりとケアし、決定的な仕事をさせず前半を終了します。ちなみに鵬翔GKはプレスキックは右足、速攻時のパントキックは左足、どちらも正確なコントロールされていて驚きました。
さて、後半の入りはやや鵬翔ペースで進みます。リズムの生まれた攻撃は、8番を軸に屈強な星稜DF陣とのボディコンタクトを避けるかのように1タッチ・2タッチで 簡単にはたき、サイドを支配します。特に左サイドの6番と7番の運動量は素晴らしいものがありました。
両チームともに決め手を欠く中、後半14分でした。星稜は 右サイドで得たフリーキック、サインプレーで右サイドを崩し グラウンダーのクロスからシュートへつなげます。 混戦からあわや・・・の場面をDF陣が辛うじてクリアします。
続く24分、鵬翔ベンチは1年生FW10番に代えて13番を投入します。鵬翔のエースナンバーは13番、あまりにも有名な話ですね。13番の選手は県予選で左膝半月板を損傷しており、限られた時間でしかプレーできないようで、今大会はスーパーサブ的な役割のようです。
さてゲームは25分以降もやや鵬翔ペースで進んでいましたが 35分、星稜にスーパープレーが生まれ、追加点が入ります。右サイドからあげられたクロスが鵬翔DFにあたりゴールライン付近に浮き球として流れてきます。そこに走り込んでいた星稜10番が背後からの浮き球にダイレクトで合わせてボレーシュートを放ち、これが逆サイドネットに突き刺さります。位置こそ違えど、バッジオがブレシア時代に決めたゴールを思い出しました。瞬時にGKの位置やコースを判断した10番の素晴しい個人技だったと思います。 正直このゴールで勝負あったと思いましたが、私が間違っていました。
ドラマはまだまだ続きます。2分後の37分、鵬翔は右FKからこぼれたボールに素早く反応した6番が右足を振りぬきゴールへ突き刺し2-2の同点とします。
そして死闘を尽くした両チームの戦いはこのまま同点で終了、無情にもPK戦での決着となり、PK4-3で鵬翔が初の決勝進出を決めました。 ここまで勝ち残った両チーム、大差はなく正直どちらが勝ってもおかしくない 好ゲームでした 。 同じ条件で再戦したらどちらが勝つかなんてわかりません。気持ちのこもった試合にただただ胸が熱くなりました。
関東を襲った大雪の影響で19日(土)に変更となった決勝戦、どちらかが勝っても初優勝。この選手権に向けて頑張ってきた高校生の頂点を決めるゲームであると共に、このチームで出来る最後のゲームです。
最高のプレーを期待したいと思います。
取材:おび天
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